先週末は、ロンドン証券取引所のイベントに出席するため英国に出張しました。約20年前に留学していた時からの変化で最も驚いたのは、Brexitリスク—ではなく、英国のマックに今年初めてアイスラテ・フラッペが登場したことでした。
英国はこの数年猛暑が続いています。滞在中の気温も26℃まで上昇しました。日本に比べれば涼しいですが、ロンドンは札幌よりモスクワに近い高緯度の都市。昔は、真夏でも長袖を持ち歩いていました。このため、かつてロンドンのコーヒーショップにはアイスコーヒーは殆どなく、稀にあっても、これ本当に飲めるのというレベルの黒い液体に過ぎませんでした。
英国だけではありません。先月28日、隣のフランスでは、観測史上最高となる45.9℃まで気温が上昇しました。ある気象学者は、その数日前に「地獄が来る」とツイートしました。オランダは、「ネーデルランド(低い国)」の語源通り、海抜ゼロメートル国ですが、海面が上昇しても沈まぬよう、水上に浮かぶ住居が一部で実験されています。
こうした状況もあり、欧州は、SDGsやESGといった社会の持続性 = サステナビリティを重視する投資が全運用資産の約半分を占めています。日本でも増加していますが、まだ2割弱です。また、日本では、ESGといえば企業のガバナンスが注目されますが、欧州では、気候変動への取り組みに焦点が移っています。一部の企業では 「サステック」と銘打って、サステナビリティ関連の精緻なデータを集め、我こそはグリーンな会社だと環境対策を競っています。
日本では老後資金に焦点が集まっていますが、我々が求めているものは、お金そのものではなく、持続的に良い暮らしができることでしょう。ならば、たとえお金が増えても、老後の自然環境がめちゃめちゃでは元も子もないはずです。投資を通じて、社会も、自分も、お金も、一緒に高めることができることが理想でしょう。
マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:7/8配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
《HH》
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