新型コロナウイルス禍の世界経済は鎖国に向かっているような印象も受ける。世界各国が入国制限を行っており、人の移動が制限を受けている。
2005年2月のAmerican Economic Reviewに掲載された「An Empirical Assessment of the Comparative Advantage Gains from Trade: Evidence from Japan」では、幕末の日本が開国したことによる経済的影響が取り上げられている。1853年、代将マシュー・ペリーが率いるアメリカ海軍東インド艦隊の艦船4隻が浦賀に来航し、日本の開国と通商関係を結ぶことを求め、ロシア使節の提督プチャーチンは、日本の開港と北方領土の画定を求めて長崎に来航した。
当報告書では貿易財の比較優位性に焦点を当て、当時の開国によって日本のGDPは8~9%押し上げられたと分析している。足元の状況に当時の結果を当てはめることはやや乱暴だが、今起こっているのが「開国」ではなく「鎖国」なのであれば、当報告書を鎖国で経済規模が8~9%以上縮小する可能性を示唆していると読むこともできるだろう。
(株式会社フィスコ 中村孝也)
《SI》