今週は米国の小売売上高、住宅着工件数、中古住宅販売件数や大詰めを迎える英国とEUの離脱を巡る通商交渉の行方に注目が集まる。また、欧米での新型ウィルスの拡大は引き続き見通しの下方リスクとなる。石油輸出国機構(OPEC)プラスは会合で、協調減産緩和の時期延期を協議する見込み。
米国では消費が経済をけん引するため特に小売売上高に注目。6カ月連続の伸びの拡大が予想されている。総売り上げはパンデミック前の水準を回復しており、消費は住宅セクターとともに成長に貢献。今週予定されている住宅関連指標でも住宅市場の強さが再表明される見通し。ただ、最新11月のミシガン大消費者信頼感指数が予想外に低下するなど、新型コロナウィルス感染再拡大が消費者マインドに大きく影響している証拠となっており、今後、パンデミックの拡大が再び消費を抑制する可能性が成長リスクとなる。
同時に、ワクチンや治療薬開発の一段の前進で今年の春のパンデミック発生直後の状況とは異なる。来年上半期にもワクチンが承認され供給体制が整えば、米国保健福祉省(HHS)が全米の薬局を通してワクチンを米国民に配布する計画。ワクチンの実用化が鍵となり来年の第2四半期には本格的な経済活動の再開が期待されている。来年の回復を織り込む動きに米国債相場は下落基調でドルを支える可能性がある。今週は16日にFRBのクラリダ副議長がブルッキングス研究所のオンライン討論会に参加予定で、経済の判断・見通しや追加緩和の可能性が示唆されるか注目。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はECBフォーラムで、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁、ベイリー英中銀総裁と同様、ワクチン開発の進展は歓迎するものの、依然不透明感が強くワクチンが全国民に配布され経済に反映されるまでには「時間がかかる」と慎重で、当面、大規模緩和を維持する姿勢を見せている。