*10:27JST 同盟の行方—NATOはインド太平洋で何を狙っているか(1)【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
冷戦終結後、拡大傾向にあったNATOであったが、2014年のロシアによるクリミア併合を阻止できなかったことやトランプ米大統領のNATOへの不信感から求心力を低下させている。フランスのマクロン大統領は、加盟国であるトルコがNATOの合意のないまま、シリア国内で攻撃的行動に出ていることを批判したうえで、「NATOは脳死状態に陥っている」とまで述べている。NATO事務総長から指名された専門家会議が昨年11月に公表した戦略白書「NATO 2030-United for new era」は、このマクロン大統領の発言を受け、NATOが今後どのような同盟を目指すべきかを示したものである

同報告書は、NATOを10億人の人々と世界のGDPの半分が参加する最も成功した同盟と高く評価している。一方で、現状変更勢力の影響力拡大という不透明性が拡大しつつあるとの現状認識を示し、新たな脅威に対処するためにはNATOが政治的結束力を高める必要があると主張している。NATOの役割は、欧州大西洋地域における平和と安定及び法による支配という原則を守ることとしており、あくまでも主たる正面は欧州及び大西洋であることを明確にしている。国際情勢は対立と競争という構造に回帰し、ロシアと中国を現状変更勢力と位置付けている点は米国国防戦略と同じである。しかしながら、その脅威の程度は異なっている。