11日の日経平均は大幅に続伸。449.26円高の28498.20円(出来高概算11億9000万株)で取引を終えた。
前週末の米国株の下落を映して売りが先行して始まったものの、岸田首相が10日、金融所得課税の強化について、「当面は触ることは考えていない」との考えを明らかにしたほか、円相場が1ドル=112円台後半まで円安が進んだことも投資家心理を上向かせ、輸出関連株など主力株を中心に買い戻しの動きが活発化し、一時28581.36円まで上昇する場面もあった。また、「中国政府が電力不足の緩和に向けて石炭増産に乗り出した」と一部で伝わったほか、原油市況の上昇傾向が続いていることも注目され、資源関連株にも買い気が波及していた。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり銘柄が1800を超え、全体の8割超を占めた。セクター別では、電気ガスを除いた32業種が上昇。海運、空運、鉱業が3%を超える大幅な上昇となったほか、輸送用機器、ガラス土石、石油石炭などの上げが目立っていた。指数インパクトの大きいところでは、ソフトバンクG、ファーストリテ、リクルートHD、信越化、ファナックが堅調だった。
半面、東エレク、安川電、アドバンテス、資生堂、エムスリーが軟化。

米雇用統計を受けて米長期金利が上昇。日米金利差を背景に2018年12月以来、約2年10カ月ぶりの円安水準となったため、自動車や自動車部品などの輸出関連株に値を上げる銘柄が目立っていた。一方、先週末に上半期決算を発表したものの、市場予想に届かなかったことが嫌気された安川電は一時5%近く急落する場面が見られた。

中国不動産大手、中国恒大集団など不動産業界を巡る信用不安や米政府の債務上限問題の懸念など先行き不透明要因は完全に拭えていない。また、日経平均は短期といっても12年ぶりの8日続落を演じ、値幅も2700円超と大きいだけに、これをすべて戻すには時間がかかりそうだと見る向きは多い。
もっとも、14日に衆院が解散され、本格的な選挙モードに突入するため、改めて政策期待が相場を後押しすることも予想される。