3月と4月の2カ月間で16円超も値上がりしたドル・円が失速しています。米国経済の減速懸念でドルに下落圧力が強まったほか、世界的な株安で円買いに振れやすいためです。下値メドの125円を割り込むと、さらに下げ足を速める可能性があります。

ドル・円相場は、ロシアが対独戦勝記念日(5月9日)に合わせてウクライナへの攻撃を激化させるとの思惑で有事のドル買いが強まり、一時131円34銭まで上昇。しかし、それをピークに緩やかな下落基調に転じ始めました。日米金融政策の違いが下支え要因として働いてはいるものの、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げについては相当程度に織り込みが進んだほか、米インフレ指標のピークアウトの意識もあり、12日には一気に2円半も下落しています。

また、16日のNY連銀製造業景況指数のように経済指標が予想外に悪化するケースが目立ち、リセッションへの懸念が広がり始めています。19日のフィラデルフィア連銀製造業景況指数も想定を大きく下回る内容となったのを受け、これまで金融正常化への期待感や有事の際の逃避先として買われてきたドルに下押し圧力がかかっています。ドル・円は支持線とみられた127円を割り込み、126円台にまで下げました。

他にも要因はあります。欧州中銀(ECB)のラガルド総裁をはじめとした当局者が金融緩和からの脱却にとどまらず、7月利上げの可能性にまで言及したことで、ユーロ・ドルが急伸。また、フィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)加盟を正式申請し、地政学リスクによる円買い圧力も働きました。さらに、NY株式市場でダウが大恐慌以来となる8週連続の下落を見せるなど、記録的な落ち込みも円買い材料になりました。