以下は、2023年10月19日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された「2023年上期相場の振り返り(前編)」です。前編は株式、金、原油相場について、後編は金先物・ドバイ原油先物の投資活用をフィスコ・マーケットレポーター高井ひろえが紹介、4回に分けて配信します。


皆さん、こんにちは。フィスコ・マーケットレポーターの高井ひろえです。本日は、2023年9月までの株式、金、原油相場についてお話させて頂きたいと思います。

まずは株式市場の動向について解説させて頂きます。

今年上半期の株式市場は、前年の動きとは異なり一部の市場関係者の悲観論を横目に堅調に推移してきました。米国の主要株価指数であるダウ平均株価や成長期待の高いハイテク・グロース株で構成されるナスダック総合指数、機関投資家が運用の指標とする代表的なベンチマークであるS&P500種株価指数の昨年末から9月28日までの上昇率は、ダウ平均が2%、ナスダックが26%、S&P500が12%の上昇となっています。
特に大型ハイテク株が好調で、革新的な技術と将来の成長性に対する強い期待感に加えて、米国経済が景気後退(リセッション)を回避し、軟着陸(ソフトランディング)となる可能性をポジティブに捉える動きが広がったと思われています。

こうした中、日本の株式市場では、日経平均株価が5月に大台の3万円を回復し、東証株価指数(TOPIX)もバブル崩壊後33年ぶりの高値を更新しました。日経平均は6月には最高値33772.89円を付けており、TOPIXにいたっては9月に入って一段高となり日本株の好調さが際立っています。実際、昨年末から9月末までで、日経平均は22%上昇、東証株価指数(TOPIX)は23%上昇しており、世界の主要株価指数のなかでも群を抜く上昇となりました。

簡単に、今年の流れを確認すると、年明けから中国の経済再開とアメリカのインフレピークアウト、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ幅縮小などに対する期待感から上昇基調をたどりました。2~3月にはアメリカでシリコンバレー銀行(SVB)をはじめ複数の銀行が経営破綻に追い込まれ、スイスの銀行クレディ・スイスの経営難も発生し、欧米の金融システム不安が台頭しましたが、日本・アメリカ・欧州の中央銀行による多くの対策が迅速に打たれ、ショックは早い段階で鎮静化しました。
4月以降は、来日した世界的な著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株への追加投資に言及したことを皮切りに、東証の市場改革に注目した外国人投資家の買いにより、日本株は上昇を続けました。

また、その後の好調の背景には、コロナ渦からの経済活動の再開やインバウンド(訪日外国人)需要の回復、金融政策では日本銀行が各国の対応とは異なり異次元緩和継続を行うなど、日本固有の複数の好材料が相場を押し上げる要因となりました。さらに、中国経済の停滞が意識されているほか、欧米株は金融引き締めによる警戒感が拭えていないため、海外投資家にとって日本株の魅力が高まったことも好調な要因として挙げられています。

一方で、新興市場の指数をみてみると、6月にピークを付けたことは変わりませんが、年初来の騰落率は東証グロース指数で1%高、マザーズ指数で横ばいと日経平均株価やTOPIXとは異なり上昇は限定的となっています。これは、日本株の買い主体だった海外投資家が、流動性などの制約条件を理由に時価総額の大きい東証プライム市場の主力銘柄に投資対象を絞っていることが背景として挙げられます。投資対象となりにくい中小型株やバリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株には買いが広がらず、「置いてけぼり状態」になりました。


さて、簡単に2023年の国内の株式市場について振り返ってみましたが、実は2023年は金先物価格も好調なパフォーマンスとなったほか、ドバイ原油先物価格などのコモディティ(商品)も注目したい値動きとなっています。まず、安全資産の代表格とされていて株式などのリスク資産との対比で語られることが多い金先物の価格を見てみましょう。

こちらは、大阪取引所が扱う金先物価格と米10年債利回りを表したチャートです。アメリカの取引所でも金先物は扱われていますが、円建てとドル建ての違いのほか、日本とアメリカの金融政策の違いなどもあり、両者の価格推移は大きく異なります。今回の動画では、扱いやすさの観点などから大阪取引所の金先物をメインに話していきます。

改めてチャートを見てみると、2020年以降、価格はぐんぐん右肩上がりに上昇しています。
なぜ米10年債利回りのチャートを表示しているかというと、通常、金価格と米10年債利回りは逆相関になると認識されているからです。一般的に金への投資には配当や金利が付かないため、株式や債券の収益源ともなるインカムゲインがないため、金利上昇局面では売られやすいといったように解説されるのが基本でした。ただ、過去の推移では逆相関が続いている時期と、そうではない時期があることが分かるため、絶対に金価格と米10年債利回りが逆相関になるとは言えません。

実際、2023年の金価格チャートを見てみると、米10年債利回りが上昇する局面でも金価格は大きく下落せず、上昇する場面が見られます。具体的に見てみると、1月から3月にかけて8000円付近で推移していましたが、その後右肩上がりで推移しており、8月には大台の9000円を突破しました。直近では、米10年債利回りが4.4%を超えてもなお、年初来高値更新が続いています。


※原稿作成:フィスコアナリスト山本 泰三

—【金先物・ドバイ原油先物の魅力】~2023年上期相場の振り返り~vol.2に続く—