28日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は続伸、短期的な戻りが期待される局面だが
・ドル・円は上げ渋り、日本株高も欧州通貨売りが下押し
・値上がり寄与トップは、東エレク<8035>、同2位は京セラ<6971>
■日経平均は続伸、短期的な戻りが期待される局面だが
日経平均は続伸。
27日の米株式市場はメモリアルデーの祝日で休場だった。ただ、欧州市場ではドイツ株やフランス株が上昇。また、東エレク<8035>が大規模な自社株買い実施を発表したことも好感され、本日の日経平均は4円高でスタートすると、朝方には21297.70円(115.12円高)まで上昇する場面があった。しかし、前日の日米首脳会談でトランプ米大統領が貿易交渉について「8月にも発表できるだろう」などと述べたことから、交渉の行方を警戒する向きもあり、一段の上値追いの動きは乏しかった。東証1部の値上がり銘柄は全体の4割強、対して値下がり銘柄は5割弱となっている。
個別では、前述の東エレクが売買代金トップで3%近い上昇。1銘柄で日経平均を約15円押し上げた。寄り付き直後に一時6%超上昇したが、戻り待ちの売りに押され上げ幅を縮めた。欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)による仏ルノーへの統合提案が注目され、日産自<7201>は2%超の上昇。その他売買代金上位では任天堂<7974>やソニー<6758>がしっかり。日経平均寄与度の大きいソフトバンクG<9984>やファーストリテ<9983>は小幅高となった。
前日の米英市場が休場だったため、前場は海外投資家の取引参加が引き続き少なかったとみられ、日経平均も朝方の買い一巡後は伸び悩んだ。3連休明けの米国市場の動向を見極めたいなどとの思惑もあるだろう。ただ、アジア市場は中国・上海株を中心に総じてしっかり。新興市場ではSOSEI<4565>をけん引役としてマザーズ指数が1%を超える上昇となっており、個人投資家の物色意欲は底堅い。日経平均の日足チャートを見ると、本日の上昇で5日移動平均線を上抜けてきており、短期的には一段の戻りが期待される局面だろう。後場の日経平均は海外勢の参加とともに再び上値を試す場面もありそうだ。
しかし、大規模な自社株買いを発表した東エレクが戻り待ちの売りに押され伸び悩んだところを見ると、半導体関連や電子部品を中心に業績の先行き懸念が根強いことが窺える。また日米貿易交渉を巡っては、結論を参院選後の8月に先送りする見返りとしてトランプ米政権が対日要求を強めるのではといった懸念が燻っている。主力輸出株はまだ上値を追いづらい状況で、日経平均も短期的な戻りにとどまるとみておきたい。
■ドル・円は上げ渋り、日本株高も欧州通貨売りが下押し
28日午前の東京市場でドル・円は上げ渋り。日本株高を背景にやや円売り基調に振れたが、軟調地合いの欧州通貨がドルを下押しした。
ドル・円は、日経平均株価や上海総合指数の堅調地合いでやや円売りに振れ、ドルは一時109円60銭台まで浮揚。
ランチタイムの日経平均先物や上海総合指数はプラス圏を維持しており、株高継続を見込んだ円売りが想定される。ただ、ユーロやポンドなど欧州通貨が対円で弱含み、クロス円の下げがドル・円をさらに下押しする可能性もあろう。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は109円42銭から109円63銭、ユーロ・円は122円35銭から122円70銭、ユーロ・ドルは1.1179ドルから1.1196ドルで推移した。
■後場のチェック銘柄
・地域新聞社<2164>やダイヤモンドエレクトリックホールディングス<6699>など、5銘柄がストップ高
※一時ストップ高・安(気配値)を含みます
・値上がり寄与トップは、東エレク<8035>、同2位は京セラ<6971>
■経済指標・要人発言
【要人発言】
・中国銀行保険監督管理委員会主席
「米中貿易摩擦の中国金融市場への影響は、限定的」
<国内>
特になし
<海外>
・14:45 スイス・1-3月期GDP(前年比予想:+1.0%、10-12月期:+1.4%)
《HH》