【今週の概況】
■世界経済の早期正常化への期待で円売り優勢
今週のドル・円はやや強含み。米政府機関がバイデン前副大統領に政権移行作業の開始を認めたことや、新型コロナウイルス感染症の予防効果のあるワクチン開発の進展を好感してドル買い・円売りが強まった。世界経済の早期正常化への期待が広がったことは円売り材料となった。米国の11月製造業PMI速報値が予想外に上昇したこともドル買いにつながった。ただ、11月消費者信頼感指数は市場予想を下回り、新規失業保険申請件数が2週連続で増加したことから、ドル買いは一服した。
27日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時104円21銭まで買われた後、103円96銭まで売られた。トランプ大統領が12月初旬にもワクチン配布開始の可能性に言及したため、ドル買いが優勢となったが、米国債利回りの低下を意識したドル売りも観測されており、104円09銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは103円69銭から104円76銭となった。ドル・円の取引レンジ:103円69銭−104円76銭。
【来週の見通し】
■下げ渋りか、コロナ対策強化でリスクオフのドル買いも
来週のドル・円は下げ渋りか。米国での新型コロナウイルス急拡大を背景に制限強化による景気減速への懸念は消えていない。米国株式が下落し、安全資産である米国債への資金シフトが観測された場合、リスクオフのドル買いが見込まれる。米国内でのコロナ感染が急速に拡大し、各州は制限強化に乗り出している。ミシガン州やミネソタ州では高校や大学、娯楽施設をクリスマス前までをメドに閉鎖。当局は感染がさらに拡大する可能性があると警告しており、経済への影響は避けられないもよう。