【今週の概況】
■低金利政策長期化予想でドル上げ渋り
今週のドル・円は上げ渋り。イエレン次期米財務長官候補は、1月19日に開かれた指名承認公聴会で「債務拡大につながっても恩恵は代償を上回る」との考えを示した。米国の低金利政策は長期化するとの見方が広がり、ドル・円は104円09銭まで買われた後、21日に103円33銭まで下げる場面があった。米国における新型コロナウイルスの感染被害が増加していることもドル売り材料となった。
22日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時103円89銭まで戻した。この日発表された12月米中古住宅販売件数やマークイット1月製造業PMI速報値は改善したことが好感され、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小。ドル・円は103円77銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:103円33銭−104円09銭。
【来週の見通し】
■もみ合いか、米FOMC会合が手掛かり材料に
来週のドル・円はもみ合いか。金融緩和に前向きとみられている複数の地区連銀総裁が2021年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票メンバーとなったことから、金利先高観は後退し、ドルに下押し圧力がかかりやすい。バイデン政策への期待感で米国株式は底堅い動きを保っているが、発表予定の経済指標が市場予想を下回った場合、株高は一服するとみられる。ただし、安全逃避的な取引が広がった場合、ドルや米国債に投資資金が向かう可能性がある。新型コロナウイルスの感染被害対策としての追加経済策への期待は残されていることも、ドル相場を下支えする要因となりそうだ。バイデン新政権がワクチン供給不足を解消するために積極的な対応を見せた場合もドル買い材料になるとみられる。