■インテリックスの今後の見通し

2. リノベーションマンション市場の中長期見通し
首都圏におけるマンションの販売動向について見ると、2016年以降5年連続で新築を中古マンションが上回っており、2021年についても新築マンションが3.2万件と3年ぶりの増加が見込まれるものの、中古マンションについても2021年1月−6月で前年同期比29.0%増の2.1万戸と過去最高ペースとなっており、6年連続で新築を上回ることが確実視されている。中古マンションのストック数が年々増加しているほか、内装や保証制度の充実によりリノベーションマンションの魅力が上昇してきたことが要因と考えられる。


中長期的に見ても中古マンション市場は拡大する見通しだ。国土交通省の調べによれば、全国のマンションストックは2020年時点で675.3万戸、このうちリノベーションが必要不可欠とされる築30年以上の物件は231.9万戸と3割強を占めているが、20年後の2040年には約2.5倍の578.3万戸に拡大すると予想されているためだ。マンションの1棟建て替えには居住者の同意が必要であり、実現が容易でないことも戸別のリノベーションマンション市場拡大を後押しする要因となる。実際、これまでマンション建て替えの実績は全国で263棟(2021年4月時点)にとどまっている。このため、リノベーションマンション市場については今後も競争激化が続くと予想されるが、リノベーション内装工事でも豊富なノウハウと実績を誇る同社にとって、中長期的な視点で見ても成長余地は大きいと弊社では見ている。

なお、リノベーション住宅の認知度向上と流通促進を目的に同社等が発起人となり発足した(一社)リノベーション協議会が、優良なリノベーション品質基準を満たした住宅に発行する保証書「適合リノベーション住宅(R住宅)」の累計発行件数は、2020年度末で56,931件となり、このうち同社のシェアは約25%とトップシェアとなっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)