■ネクスグループ<6634>の業績動向

データ通信端末については、5Gデータ端末「UNX-05G」が、KDDI<9433>のIOTの認証、富士通<6702>が提供するローカル5Gスタンドアロンシステム「Fujitsu Network PW300」との接続検証済製品の認定、日本電気<6701>NEC)が提供するローカル5G Sub6一体型基地局「UNIVERGE RV1200」との接続検証済端末の認定を取得しており、今後も日本全国への基地局の展開が計画されている。同製品は、マルチキャリアの周波数に対応し、Wi-FiやEthernetを搭載したバッテリーレスのルーター・モデムである。
5G Phase2規格となる3GPP Release16にいち早く対応しており、従来の5G端末よりもモビリティ性能向上、消費電力削減、低遅延化が可能だ。足元では本格導入に向けて、ローカル5Gでは集合住宅向け固定インターネット接続サービス、工場設備の遠隔監視、展示会会場のネットワークインフラでの導入試験が進んでいる。また、パブリック5Gでは、5Gのエリアが広がっているなか、自動運転やAIロボットソリューションの遠隔操縦、リモートワークブースでの活用、ライブ配信向けの通信端末として導入が期待されている。

テレマティクスについては、OBDII型データ収集ユニット「GX700NC」がクラウド型車両管理・動態管理システムにおいて市場を確保している。同製品はNTTドコモ/KDDI/SoftBankの国内の主要なLTE周波数や、準天頂衛星システム「みちびき」など5方式の全球測位衛星システムに対応している。より多くの衛星測位システムを使うことで、ビルや樹木などで視界が狭くなる都市部や山間部でも測位の安定性が向上した。同製品が活用されるクラウド型車両管理・動態管理システムは、法的規制の強化や車両管理業務の効率化、ドライバーの減少・高齢化など市場を取り巻く社会環境の影響により需要が増加傾向にある。排気ガス測定・管理や今後増加するEV車の充電・電費・残量管理など、SDGsへの取り組みなどにも活用の範囲が拡がっている。今後も、新車などの新しい型式への適合や、衛星情報が取得できない地下駐車場から屋外へ移動した場合の測位までの時間短縮などの改善を進めることで、さらなる活用範囲の拡充が期待される。

農業ICT事業(NCXX FARM)では、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進している。「6次産業化事業」では、スーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の生産・販売を行っており、加工品のGOLDEN BERRYアイス及びGOLDEN BERRYフレッシュリキュール、セミドライゴールデンベリーを販売している。2024年2月には、新製品として「クラフト炭酸リキュール」、同年4月には岩手県花巻市内の夢コーポレーション(株)とのコラボ商品として「GOLDEN BERRYプレミアムアイス」の販売を開始した。
同商品はGOLDEN BERRYアイスをリニューアルし、従来品の2倍のゴールデンベリーや、花巻市産の朝一番の搾りたて生乳を使用している。「フランチャイズ事業」では、自社試験圃場での栽培実績をもとに、独自の特許農法(多段式ポット)による化学的土壌マネジメントと、ICTシステムによるデジタル管理のパッケージ販売の提供に加えて、顧客の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品を提供する農業総合コンサルティングサービスを展開している。

(3) 暗号資産・ブロックチェーン事業
売上高は0百万円(前年同期比99.8%減)、営業損失は86百万円(前年同期は36百万円の利益)となった。同社が保有している暗号資産については、流動性の低い通貨として取得価額を簿価としていたが、当期において減損処理を実施したことにより営業損失を計上している。同事業は暗号資産市場の動向と資金効率を踏まえた安定的な運用を行っている。引き続きNCXCを利用したサービスの向上、NCXCの流通促進、NCXC保有者の拡大を通じたNCXC経済圏の拡大を目指し、価値向上に取り組む。また、「NCXC GameFiプラットフォーム」に関しても、ゲーム会社とのアライアンスにより、世の中で既に実績を上げている他社ゲームタイトルを中心に、これらを簡単にPlay to Earnのゲームに転換できるプラットフォームサービスを提供していく。なお、活発な市場が存在しない暗号資産の評価損について、従来は売上高にマイナス表記していたが、2024年11月期第2四半期連結累計期間より、売上原価に含めて表示する方法に変更した。

3. 財務状況及び経営指標
財務状況は、2024年11月期第2四半期末の資産合計が前期末比491百万円増加し、3,571百万円となった。内訳を見ると、流動資産が544百万円増加した。これは、現金及び預金が326百万円、売掛金が206百万円、商品及び製品が60百万円増加したことによる。固定資産は52百万円減少した。
これは、暗号資産が78百万円減少、のれんが40百万円減少したことによる。

負債合計は前期末比521百万円増加し、640百万円となった。主な要因は、支払手形及び買掛金が167百万円、社債が57百万円、借入金が250百万円増加したことである。なお、社債及び借入金の金額には1年内償還予定の社債及び借入金も含まれている。

純資産合計は前期末比30百万円減少し、2,931百万円となった。主な要因は、資本剰余金が199百万円増加した一方で、利益剰余金が203百万円、その他有価証券評価差額金が31百万円減少したことによる。

経営指標は、安全性を表す指標のうち、流動比率が前期末比856.2ポイント低下し443.1%となった。また、自己資本比率も同14.2ポイント低下し81.8%となった。これらの主な要因は、ケーエスピーとスケブの子会社化に伴う、有利子負債の増加によるところが大きい。同社では、既に一定の売上高と営業利益を確保している2社を新たに取得したことから、今後の利益体質やキャッシュ・フローの増強に向けた先行投資が進捗していると弊社では見ている。

4. キャッシュ・フローの状況
2024年11月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は806百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは139百万円の支出となった。
これは主に、のれん償却額48百万円、暗号資産の減少78百万円があった一方で、売上債権の増加19百万円、棚卸資産の増加74百万円があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは112百万円の支出となった。これは主に、投資有価証券の取得による支出10百万円、関係会社株式の取得による支出100百万円があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは20百万円の収入となった。これは主に、社債の発行による収入20百万円があったことによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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