1. 会社概要
STIフードホールディングス<2932>は、魚など水産素材を原材料に、食品や食材の生産・販売を行う食品メーカーである。大手コンビニエンスストアチェーンであるセブン-イレブン向けをメインに、焼魚などチルド惣菜やサーモンフレークなどおにぎりの具材を販売している。
セブン-イレブンに長年高く評価されている
2. 沿革
同社は、創業者である十見裕氏(現 代表取締役社長)によって1988年12月に水産原材料及び水産食材の輸出入販売を目的に設立された、新東京インターナショナル(株)を起源とする。生鮮品の商事業務(輸出入)でスタートし徐々に業容を拡大、大手コンビニエンスストアチェーン向けにおにぎり具材のイクラやサーモンなどの販売を開始した。さらに差別化を求めてメーカーに進出、事業譲受により取得した工場設備を活用して惣菜の製造を開始した。業績は順調に拡大し成長を続けたが、工場の設備投資など資金需要が増えるなか、リーマンショックに端を発する円高により為替予約で多額の損失を発生させて資金繰りが悪化、2010年4月に民事再生法の適用を申請することとなった。
しかし、2010年9月、新東京インターナショナルの販路や生産技術に注目していた極洋<1301>がスポンサーとなり、極洋の連結子会社エス・ティー・アイ(株)が民事再生手続きに基づいて生産部門の事業譲受を行った。一方、当時既に主販路となっていたセブン-イレブンも同社の技術力を高く評価していたため、同社は取引を継続することができ、その回転差資金などもあって業況は順調に回復、さらに再拡大していった。2013年4月にエス・ティー・アイは、もともと新東京インターナショナルの完全子会社であった(株)新東京フードに吸収合併され、2017年11月には食品製造販売事業を統轄する持株会社として同社が設立された。2018年1月に新東京フードを分割して一部事業部門と管理部門を同社に移管、この間も業績は順調に拡大し、2020年9月には東京証券取引所(以下、東証)第2部に上場した。現在は東証スタンダード市場に移行、極洋及びセブン-イレブンの運営会社である(株)セブン-イレブン・ジャパン(セブン&アイ・ホールディングス<3382>の子会社)がそれぞれ、発行済株式総数の8.44%(2023年12月末現在)を継続保有している。
中食のなかでも水産系チルド惣菜は強い成長を継続
3. 中食市場の動向
少子高齢化や人口減少により日本人の食料消費量が減少しているが、同社が属する中食市場は10兆円以上の規模に拡大したと言われている。
※ チルド惣菜は殺菌・静菌技術が進んでロングライフ化している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)