1. 会社概要
橋本総業ホールディングス<7570>は管材・住宅設備機器の1次卸である。水回りに強く、管材や衛生陶器・金具、住宅設備機器、空調・ポンプなどの住宅設備・建設関連資材を大手有力メーカーなどから仕入れ、全国の2次卸や工事店や工務店、ゼネコンやサブコンなどに販売している。
同社は、1890年に橋本久次郎(はしもときゅうじろう)氏が神田岩本町にパイプや継手などを販売する個人商店を開業したことが始まりで、同氏が130年以上にわたる歴史を持つ老舗管材商としての基礎を築いた。二代目の政次郎(まさじろう)氏は製造卸としてカタログ販売や自社製品の製造を行い、戦後に同社を引き継いだ三代目の政雄(まさお)氏はメーカーの特約店として商売を広げた。そして、現社長である四代目の政昭氏は、「ベストパートナー」としてメーカーや販売先など取引先の満足度を向上させるとともに、地域密着営業やM&A、IT技術・システムの活用、新規事業領域への進出、ESG活動をベースにした「HSDGCG活動」など、新たな時代に対応した経営を積極的に推進している。
地域のニーズを的確に汲み取るグループ体制
2. グループ体制
同社グループは、持株会社の同社及び橋本総業(株)など連結子会社10社、非連結子会社6社により構成されている(2024年9月末時点)。このうち橋本総業は、全国に46の営業拠点(本社のほか35支店、11営業所、5センター)を擁する最大の子会社である。その他子会社としては、大明工機(株)が全国に16拠点、若松物産(株)が愛知県に2拠点、(株)大和が大阪府に1拠点、(株)永昌洋行が福岡県に2拠点、(株)ムラバヤシが青森県に2拠点、みらい物流(株)が1拠点、橋本総業ファシリティーズ(株)が全国で7拠点、サンセキ(株)(旧 山陰セキスイ商事(株))が山陰で4拠点・1センターを展開している。このように県別の営業体制で全国をフルカバーし、工事現場や販売店に密着することで地域のニーズを的確に汲み取り、シェア拡大につなげている。ただし、同社発祥の関東から東海にかけて比較的拠点が充実しているものの、関西など西日本を中心に拠点拡張の余地が依然残されていると言える。
各社とも管材類、衛生陶器・金具類、住宅設備機器類、空調・ポンプの販売を主たる業務としているが、それぞれに特長がある。橋本総業はオールマイティな品揃えと機能を持ち、グループのリーダー格であり成長のけん引役でもある。
特需部門や海外など新領域を強化
3. グループ企業の動き
同社の営業ルートは主に2次卸や工事店を販売先とするルート営業部門と、ゼネコンやサブコン、住宅メーカー向けの特需営業部門に分けられる。特需部門は売上高全体の10%ほどを占め、管材や住宅設備機器といった資材を販売するだけでなく、施工や現場管理の提案・対応、鋼管や樹脂管の切断・加工など、建築工事における幅広いニーズに対応している。こうしたニーズにはサブコン向けを得意とする大和や、橋本総業の各地特需部門がそれぞれ対応していたが、拡大余地の大きい領域であることから、2020年9月に大和と橋本総業関西特需部門を統合し、関西地区の特需部門強化を図った。また、2023年1月には特需部門のさらなる事業成長と意思決定の迅速化を目的に橋本総業ファシリティーズを設立、同年4月に橋本総業の特需部門を統合・承継した。橋本総業ファシリティーズを強化することで、特需部門の売上高構成比の引き上げを図る。
同社はタイでの事業も活発に展開している。2020年6月にHASHIMOTO SOGYO (THAILAND) CO.,LTD.を設立し、富裕層物件のリノベーションや、物件引き渡し直前に行う品質管理サービスなどを行ってきたが、加えて、タイに本社がある図面製作会社SHOH PLANNINGと提携し、積算・設計事業に乗り出した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)