1. 事業内容
同社の創業は2011年6月で、資本金40,000千円でスタートした。以来、「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」を社是とし、「安全・安心・堅実」をモットーに良質で安価な住宅を供給してきた。
主要事業エリアは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県である。これら首都圏エリアは、全国的に人口減少が言われるなかでも相対的に減少スピードが緩やかなエリアである。足元の都道府県別の転入・転出状況は、千葉県のみ転出超過となったものの、東京、神奈川、埼玉は揃って転入超過となっている※(2024年11月実績)。また、同社によると、マンション販売価格は都区部を中心に高騰しているものの、住宅購入意欲は依然底堅いという。人口動態や購入者のニーズなどから今後も、首都圏におけるマンション需要は堅調に推移することが見込まれる。
※ 出所:総務省統計局公表の「住民基本台帳人口移動報告」。
国土交通省の建築着工統計調査報告によると、首都圏1都3県のマンション建設の着工戸数は、2020年が53,913戸と前年比で9.2%減だった。2018年に落ち込んだ後、2019年に回復する兆しを見せたところで、コロナ禍の影響を受けた。コロナ禍で経済・社会活動が停滞するなか、2021年も前年比7.3%減の49,962戸と前年割れだった。2022年は前年比4.8%増の52,379戸と3年ぶりに前年実績を上回った。
価格面では、首都圏のマンション平均価格は2018年に一段落したが、2019年から再び上向いている。同研究所の資料によると、2019年の5,980万円から、2023年には8,101万円まで伸長した。とりわけ東京23区の伸びは大きく、2019年の7,286万円から、2021年には8,293万円と8,000万円を突破した。2022年は前年を下回ったが、2023年には11,483万円と1億円を突破した。2024年の平均価格も11,181万円となり、販売価格は高止まりしている状態だ。
コロナ禍の影響によるテレワークの浸透や生活様式の多様化に加えて、東京23区のマンション価格が高止まりしているため、郊外案件の引き合いが引き続き好調に推移すると予想される。同社は事業用地を開発し、デベロッパーにマンションプランを提案する「造注方式」を事業モデルとしており、積極的にデベロッパーへの営業活動を推進することで、収益アップを実現する考えだ。
同社は、この「造注方式」を武器に急速に成長した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)