ラクト・ジャパン<3139>は、海外から乳原料・チーズ(以下、乳製品原料)と食肉及び食肉加工品などの食品原料を輸入する独立系の食品専門商社である。乳製品の取扱高は日本市場でトップクラスのシェアを誇る。
1. 2024年11月期の業績概要
2024年11月期の連結業績は過去最高の売上高、利益を更新した。売上高は前期比7.9%増の170,907百万円、営業利益は同39.9%増の4,455百万円、経常利益は同51.7%増の4,320百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同53.6%増の3,146百万円となった。インバウンド消費の増加など業務用を中心に食品原料需要が回復し、すべての部門において販売数量が前期比で増加した。乳製品原料及び食肉製品の価格上昇や円安により販売価格が高水準で推移したため、売上高は2024年7月に上方修正した通期予想を上回った。利益面においては、国内やアジアにおける乳原料販売部門の商品ミックスが改善したほか、アジアのチーズ製造販売部門において原料チーズ価格の落ち着きや製造量増加による生産効率向上により原価率が改善し、売上総利益率は5.9%と前期を0.9ポイント上回り大幅な増益に結びついた。販管費は人員増、国内物流経費増などで同18.9%増となったが、売上総利益の増加により吸収し、経常利益率は2.5%と前期を0.7ポイント上回った。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益も通期修正予想を上回った。また、1株当たり配当金は前期比32.0円増の80.0円に上方修正した。
2. 2025年11月期の業績見通し
2025年11月期の連結業績も過去最高の売上高、利益を更新する見通しだ。売上高は前期比5.3%増の180,000百万円、経常利益は同6.5%増の4,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同4.9%増の3,300百万円を見込む。
※ Return On Invested Capitalの略。ロイックと呼ばれ、投下資本に対する利益率を表す。「税引後の営業利益÷(自己資本+有利子負債)=売上高営業利益率×投下資本回転率」で計算する。
3. 中期経営計画の進捗状況
同社は2023年1月に、新たな経営理念、長期ビジョン「LACTO VISION 2032」とともに中期経営計画「NEXT-LJ 2025」(2023年11月期~2025年11月期)を公表した。長期ビジョンでは、「商品の複合化」「事業の複合化」「貿易事業の複合化」により、「複合型食品企業」へと進化することを目指し、2032年11月期に連結経常利益6,000百万円、同利益の海外比率40%を達成する目標を掲げた。そのファーストステップとなる中期経営計画「NEXT-LJ 2025」では、2025年11月期の売上高200,000百万円、連結経常利益4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,900百万円を目標とした。
■Key Points
・2024年11月期は過去最高の売上高、利益を更新
・2024年11月期の1株当たり配当金は前期比32.0円増の80.0円に上方修正
・中期経営計画の連結利益目標を1期前倒しで達成
・2025年11月期も過去最高の業績更新を見込み、1株当たり配当金は前期比20.0円増の100.0円を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)