[注目トピックス 日本株]カドカワ Research Memo(1):新サービス立ち上げなどで収益構造改革が進む

*15:10JST カドカワ Research Memo(1):新サービス立ち上げなどで収益構造改革が進む
■要約

カドカワ<9468>は、大手出版社の(株)KADOKAWAと日本最大級の動画サービス「niconico」を運営する(株)ドワンゴが2014年10月に経営統合して誕生した総合メディア企業である。出版事業のほか「niconico」を中心としたWebサービス事業、映像・ゲーム事業を中心に、メディアミックス戦略による事業拡大を推進している。

1. 2018年3月期業績実績
2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.5%増の206,785百万円、営業利益が同62.6%減の3,144百万円と増収減益決算となり、期初会社計画(売上高212,000百万円、営業利益5,800百万円)を下回る格好となった。Webサービス事業における有料会員数の減少や、「niconico(く)」や「nicocas(ニコキャス)」のサービス開始遅延、出版事業における戦略投資費用の増加や2017年3月期に大ヒットした「君の名は。」効果の反動減が減益要因となった。また、会社計画比では、Webサービス事業における有料会員数が期初の想定よりも減少していること、2017年10月に投入を予定していたスマートフォン向け新サービスの開始遅延、映像事業における一部の実写映画が低調だったことが下振れ要因となった。

2. 2019年3月期業績見通し
2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.7%増の231,000百万円、営業利益が同154.4%増の8,000百万円とV字回復を見込んでいる。増益要因の大半はWebサービス事業と映像・ゲーム事業の増益による。Webサービス事業におけるポータル事業では2018年の夏休み前を目途に「niconico(く)」や「nicocas(ニコキャス)」のサービスを開始し、有料会員数の減少に歯止めをかけるほか、オリジナルゲーム、ニコニコと連携したゲームの投入やVTuber等配信者への投げ銭の導入を予定している。これらの施策によりポータル事業ではプレミアム会員数に依存しない収益構成要素を強化し、大幅増益を見込んでいる。映像・ゲーム事業では、映像については、映像作品の収益性向上を見込んでいる。また、ゲームについては、オリジナルゲーム等の貢献により大幅増益を見込んでいる。弊社では、2019年3月期のポイントは2つあると考えている。1つ目は、6月28日のサービスインがアナウンスされた「niconico(く)」がユーザーから大きな支持を得られるかどうかだ。この結果は第1四半期決算時においてある程度明らかになっているだろう。2つ目は、大幅増益が期待されるオリジナルゲームや都度課金による収益貢献が会社期待通りに推移するかどうかだ。オリジナルゲームや都度課金がどのタイミングで導入されるのかにも注目したい。

3. 今後の成長戦略
同社は、ネットとリアルを融合したメディアミックス戦略を国内外で展開しながら事業を拡大していく方針だ。グループのIP戦略として、出版を起点とする従来型のメディアミックスだけでなく、niconico等の出版以外から生まれた原作を起点とした統合シナジー型のメディアミックスを実現していく戦略を掲げている。IPの創造と育成も強化しており、具体的な取り組みとして、(株)バカーや※1(株)ENGI※2などを設立している。4月25日からは、「Nアニメ」※3を試験導入している。出版事業では適量生産・適時配送に対応する新たな書籍製造・物流システムのテスト稼働を開始しており、2020年春に完成する所沢の書籍製造・物流拠点において本格稼働を開始する。同システムの導入によって、需要に見合った少量生産を低コストで実現できるほか、返品率低減による収益性の向上が見込まれる。また、電子書籍事業についても年率2ケタ台の増収ペースが続く見通しだ。現状は先行投資ステージである業績も、これら施策を推進していくことで中長期的には着実に成長していくものと弊社では予想している。

※1 アニメに圧倒的な強みのある(株)カラーとの合弁会社。2018年2月に設立された。個人クリエイターの著作物の二次使用権を確保し、IP創出の加速を図る。
※2 同社とサミー(株)、(株)ウルトラスーパーピクチャーズによって共同設立されたハイブリッドデジタルアニメーション制作スタジオ。2018年4月に設立され、同年6月から営業を開始した。ハイブリッドデジタルアニメーションとは、日本のアニメファンにも馴染みのある「デジタル作画」と「3DCG」という2つのデジタル映像技術を融合した、新しい映像表現によるアニメーションのこと。最新の技術を駆使した新しい映像表現によるコンテンツづくりを目指す。
※3 動画・イラスト・ニュースなど各サイトに分散しているアニメコンテンツや情報を集約したアニメポータル。アニメファンがニコニコ内アニメコンテンツを回遊できるようになっており、ユーザー数の拡大が期待される。


■Key Points
・2019年3月期はniconico新サービスの開始と新作ゲームの投入により、業績のV字回復を見込む
・Webサービス事業と映像・ゲーム事業で大幅増益を見込む
・メディアミックス戦略の推進により、中期的な成長拡大を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《HN》

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