[注目トピックス 日本株]カドカワ Research Memo(4):電子書籍事業と海外ライセンス収入が好調に推移

*15:04JST カドカワ Research Memo(4):電子書籍事業と海外ライセンス収入が好調に推移
■カドカワ<9468>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) Webサービス事業
Webサービス事業の売上高は前年同期比10.2%減の13,828百万円、営業損失は100百万円(前年同期は393百万円の営業利益)となった。

主力のポータル事業は、主な収入源である「niconico」の有料会員数が2019年3月期第2四半期末で194万人と前年同期末比34万人の減少となったことが減収要因となった。減収に伴い営業損失も拡大したが、前期から取り組んできたインフラ改善施策の効果で、通信費が減少するなどコスト改善効果も出てきており、2019年3月期第2四半期(7月-9月)の営業損失額は前四半期比で縮小するなど改善方向に向かっている。「niconico」の再成長戦略として、サービス品質の向上(通信回線の増強、高画質化対応)による動画・生放送の視聴環境改善に取り組んだほか、2018年6月から新バージョンとなる「niconico(く)」の提供を開始。また、2018年8月には新しい生放送サービス「nicocas(実験放送)」をリリースし、生放送番組にアイテムを贈ることで配信者を支援することができる「ギフト」(投げ銭機能)を導入するなどサービス機能の拡充を図った。また、VR市場の育成・発展を目的に、VRコミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」※を2018年4月にリリースしている。

※ニコニコ生放送などの配信サービスを介して、誰でもVtuberとなって配信できるサービス。


ライブ事業については、競合する他の動画サービスとの差別化を図るためネットとリアルを融合した各種イベントを継続して行っている。2018年4月に開催した「ニコニコ超会議2018」では会場来場者数が16.1万人(前年は15.4万人)と過去最高を記録したほか、2018年8月に開催した世界最大級のアニソンライブ「Animelo Summer Live 2018 “OK!”」でも前年と同様8.1万人を集客し、収益貢献している。

モバイル事業については、音楽配信サービスの「dwango.jp(ドワンゴジェイピー)」の会員数減少が続いており、前年同期比で2ケタ減収減益が続いているものの、費用の削減も同様に進めており、収益性は維持している。

(2) 出版事業
出版事業の売上高は前年同期比1.2%増の55,079百万円、営業利益は同25.1%増の3,003百万円となった。書籍、雑誌の新刊点数は前年同期と比べて抑え目で推移したものの、電子書籍・電子雑誌が2ケタ成長の勢いで伸びているほか、版権収入も遊技機向けの権利許諾収入が入ったことや海外向けの成長により増収増益要因となった。

電子書籍・電子雑誌事業においては、同社グループで展開する総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」での販売が好調に推移したほか、外販事業で新たな外部電子書籍ストアに販売許諾を開始したことも寄与した。特に、「BOOK☆WALKER」に関しては、効果的な販促施策を実施したことや9月に「ニコニコ書籍」アプリとの統合を完了し、作品の品ぞろえが拡大したことで、第2四半期累計売上高は前年同期比32%増(アプリ統合を完了した9月は39%増)となり、営業利益で黒字化している。「BOOK☆WALKER」の新たな取り組み施策として、「読書メーター」※1とのAPIレビュー連携を開始し、2018年6月より購入前の試し読みと作品レビューの閲覧を可能としたほか、「カクヨム」※2との連携も同年5月より開始し、「カクヨム」で書いた作品を「BOOK☆WALKER」で販売できるようにした。「BOOK☆WALKER」では1,000社に上る出版社の書籍・雑誌を取り扱っており、品ぞろえの充実と各種サポート・サービス機能の拡充により今後も成長が期待される。一方、外販事業についても販路拡大と異世界系作品がヒットしたこともあり、前年同期比39%増収となっている。なお、電子書籍・電子雑誌の売上構成比は出版事業セグメントの2割強を占めるまでに成長している。

※1 (株)トリスタが運営する日本最大級の読書コミュニティサイト。2008年よりサービスを開始、2014年にドワンゴが子会社化し、2018年4月にブックウォーカーが全株式を譲受し、子会社化している。
※2 KADOKAWAが提供する小説投稿サイト。作者登録することで誰でも無料でWeb上に小説を公開することができる。


一方、書籍事業ではコミックスで「よつばと!」「ダンジョン飯」といった大型作品や「オーバーロード」「殺戮の天使」シリーズが好調に推移したほか、一般書では小学生向けの学習まんがが好調で収益貢献した。メディアミックス関連では、映画「ラプラスの魔女」や「ビブリア古書堂の事件手帖」の原作本や、映画「未来のミライ」の関連本が好調に推移し売上高は増収となったが、利益は減益となっている。2020年4月の本格稼働に向けてテスト生産を始めている所沢プロジェクトの製造・物流拠点の整備がスケジュール通り進捗しており、関連費用が増加していることが要因となっている。

雑誌事業に関しては市場縮小が続くなかで減収、営業損失が続いている。現在はWebメディアへの移行等ビジネスモデルの転換を進めている段階で、Webサイトのページビューや広告収入については増加している。

(3) 映像・ゲーム事業
映像・ゲーム事業の売上高は前年同期比3.2%増の23,809百万円、営業利益は同34.0%増の2,532百万円となった。このうち、映像事業の売上高は前年同期比横ばい、営業利益は増益となった。「STEINS;GATEゼロ」「殺戮の天使」「オーバーロード」等の海外ライセンス販売が好調だったほか、(株)ムービーウォーカーの展開する劇場前売券サービス「ムビチケ」も順調に伸び収益貢献した。利益率の高い海外ライセンス販売の増加が増益要因となった。

一方、ゲーム事業は増収増益となった。「DARK SOULS REMASTERED」が国内外で好調に推移したほか、海外ロイヤリティ収入も拡大基調が続いた。また、「METAL MAX Xeno」「コナン アウトキャスト」等のパッケージゲームも総じて好調に推移し、増益に貢献している。


(4) その他事業
その他事業の売上高は前年同期比11.2%増の11,276百万円、営業損失は999百万円(前年同期は212百万円の営業損失)となった。売上高は、インターネットを活用した通信高校「N高等学校」やクリエイティブ分野に特化した専門スクールの生徒数が順調に拡大したことに加えて、キャラクター商品やアイドルCDのeコマース等の物販事業が堅調に推移したことで増収となったが、利益面では2020年を収益化の目途としているインバウンド事業の準備費用の増加等が損失額の拡大要因となった。「N高等学校」では2018年4月に東京(御茶ノ水)、大宮、横浜、千葉、名古屋、福岡の6拠点にキャンパスをオープンし、合計で8拠点となっている。なお、2018年11月に開催されたNHK杯国際フィギュアスケート競技大会で優勝した紀平梨花(きひらりか)選手はN高等学校1年生ということで、時間の束縛がない通信制高校のメリットを生かした活躍を見せている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《RF》

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