■萩原工業<7856>の会社概要
1. 会社概要
岡山県倉敷市に本社を置く合成樹脂加工製品と機械製品メーカー。規模よりも収益性を追求しており、2018年10月期のROE、ROA、売上高営業利益率がいずれも10%前後の高収益企業である。
創業者の「おもしれえ 直ぐやってみゅう」というパイオニア精神は、前3ヶ年中期経営計画(2016年10月期−2018年10月期)のスローガン「Dynamic HAGIHARA 56(DH56)果敢に挑戦、新たな躍動」にも引き継がれた。2019年10月期より「ハミダセ、アミダセ。」をコーポレートスローガンとしている。「当たり前をハミダセ。そして新たな価値をアミダセ。」から取ったもので、失敗を恐れず、未来の「常識」を創るのは自分たちであるとのコーポレートスローガンを発信している。
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の経済産業大臣賞に輝く
2018年2月に発表された第8回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞において、最高賞となる「経済産業大臣賞」に輝いた。同賞は、「人を幸せにする経営」を行っている会社を顕彰する制度で、「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者である坂本光司(さかもとこうじ)元法政大学大学院教授が審査委員長を務め、経済産業省などが後援している。「人を幸せにする経営」では、「人」の対象を従業員とその家族、外注先・仕入先、顧客、地域社会、株主の5者としている。「正しいことを、正しく行っている企業」であるホワイト企業を表彰する。
経済産業省から、2018年7月に発生した西日本豪雨災害の際、同省の要請に応じて同社がブルーシートを営業日・昼夜を問わず生産、指定地へ速やかに配達したことに対し感謝状を贈られた。熊本では災害時に使用したブルーシートをトートバッグに再利用し、バッグの売上金の一部を復興支援に充てる活動が行われている。
就活サイトを運営する「就ナビ2020」の岡山の人気ランキングでは、前年の21位から9位に急上昇した。上位には、ITサービス企業や銀行、知名度の高い小売企業が入った。同社は、製造業として最高位となる。2019年5月に、「おかやま子育て応援宣言企業」に登録された。評価された点は、企業主導保育所の運営や1時間単位で取得できる有給休暇制度などである。業務や労働生産性に支障が出ないのであれば、従来の常識にとらわれず、従業員満足度を高める施策を採用している。
2. 沿革
1962年に岡山県倉敷市水島で花ござタテ糸用ポリエチレン製モノフィラメントの製造・販売を目的に設立された。ポリエチレンやポリプロピレンのフィルムを短冊状にカット、延伸することにより強度を持たせた糸はフラットヤーンと呼ばれる。1960年代後半に、自社製品の製造技術を応用した産業機械をアメリカ、中近東、中南米、東南アジアへプラント輸出をした。国内の生産拠点は、1970年に笠岡工場(笠岡市)、1973年に本社工場(倉敷市)、1989年に里庄工場(里庄町)、1997年に賀陽工場(賀陽町)といずれも岡山県内に完成させた。海外では、1995年にインドネシア、2003年に中国青島、2005年に中国上海で製造拠点を設けた。上海子会社は、機械製品の設計・部品調達・組立・販売を行う。
2000年に大証2部に上場しており、上場会社として19年が経過している。2014年5月に、東証2部から1部へ指定替えとなった。
2018年10月期の新たな展開として、国内外でM&Aを行った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
《YM》