デジタル化の進む教育市場での新規開拓をパートナーとの協業を通じて強化する。特に、部品とサービスの組み合わせによるビジネスモデルの開発を進めるとともに、フォルダブルや大型デジタルホワイトボード、デジタルノート等、付加価値型案件の獲得にも取り組む。また、「ワコム標準ペンコミュニティー」の構築などを通じて、デファクトスタンダードの技術ポジションを強化していく。
弊社アナリストは、新たな需要の拡大や足元業績の伸びを勘案すれば、中期経営計画の数値目標の達成は十分に可能であると見ている。むしろ注目すべきは、中長期目線による市場変化の方向性とそのスピード、同社戦略の進捗にある。特にポイントとなるのは、同社自らの技術革新やパートナー戦略を通じて市場の変化をいかにリードしていくのか、テクノロジー・リーダシップ・カンパニーとしての主体的な取り組みにあると見ている。その一端については、毎年秋に東京都内で開催するオープンイベント「コネクテッド・インク」※において示される、各パートナーとの最新のデモンストレーションや講演を通じて窺い知ることができるだろう。デジタル化の流れは同社にとって明らかに追い風となっており、次の成長フェーズに向けて将来を見据えた活動の成果に注目したい。
※今年は2020年11月18日に開催。第5回となる今回は、アート、テクノロジー、文房具、教育などの異業種・異文化パートナーたちと、「デジタルインク」をキーワードに「創造的なカオス」を共創し、そこから何が生まれるかを問いかけた内容となっている(コロナ禍に対応してオンラインと新宿会場のハイブリッド方式で、24時間、グローバルに拠点間をリレーしながら情報発信する形式で開催)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《EY》
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