27日の香港市場は、主要60銘柄で構成されるハンセン指数が前日比409.53ポイント(1.57%)安の25628.74ポイントと続落し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が165.63ポイント(1.79%)安の9093.80ポイントと3日続落した。売買代金は1206億8780万香港ドルとなっている(26日は1139億8930万香港ドル)。


中国経済の回復鈍化が警戒される。国内では新型コロナウイルス感染が再び拡大しつつあり、行動規制も一部で強化された。中でも内モンゴルでは、都市封鎖により観光客約9700人が足止めされたと伝わっている。米中関係の悪化懸念も再燃。中国共産党系メディアの環球時報は27日、「台湾問題を巡り、米国が新たな攻撃を始めた」と非難した。それに先立つ25日、習近平・国家主席は中国の国連加盟50周年を祝う演説で、米国の台湾支援スタンスを暗に批判している。
また、米連邦捜査局(FBI)が現地時間26日、サイバー攻撃に関連した捜査で、電子決済端末メーカー、百富環球科技(PAXグローバル・テクノロジー:327/HK)のフロリダオフィスに立ち入ったことも分かった。百富環球は香港時間の27日午前に株式取引を一時停止。取引停止前の株価は、前日比43.3%安と急落している。(亜州リサーチ編集部)

「ニューエコノミー」関連銘柄に売りが先行。ハンセン科技指数は3.2%安と他の指数をアウトパフォームした。組み入れウエート上位の「ATMX」銘柄では、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)が3.0%安、騰訊HD(テンセント:700/HK)が3.0%安、美団(メイトゥアン:3690/HK)が5.1%安、小米集団(シャオミ:1810/HK)が2.2%安と値を下げている。


半導体セクターも安い。上海復旦微電子集団(1385/HK)が6.2%、華虹半導体(1347/HK)が5.1%、ASMパシフィック・テクノロジー(522/HK)が3.2%ずつ下落した。半導体パッケージング・テスティング機器大手のASMが公表した7~9月期決算は利益が4倍に拡大し、売上高は上振れたものの、好感する買いは限定されている。

石炭・石油セクターもさえない。エン州煤業(1171/HK)が5.1%安、中国中煤能源(1898/HK)が3.4%安、中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が2.0%安で引けた。石炭株については、当局の価格統制スタンスも引き続き売り材料視されている。
中国国家発展改革委員会は26日、石炭価格を長期的に安定化する仕組みを検討していると発表した。

半面、火力・風力発電、電力設備の銘柄群は高い。華能国際電力(902/HK)が7.9%、華電国際電力(1071/HK)が6.0%、龍源電力集団(916/HK)が1.6%、新疆金風科技(2208/HK)が11.9%、ハルビン電気(1133/HK)が2.5%ずつ上昇した。華電国際と華能国際が発表した1~9月期決算は、それぞれ減益を強いられたものの、嫌気する売りはみられていない。他方、風力発電プラント大手の新疆金風科技が公表した1~9月期業績は、46%増益と好調だった。

そのほかにも業績動向を手がかりにした物色がみられる。
テレビ生産大手の創維集団(スカイワース・グループ:751/HK)が59.2%高。同社が発表した1~9月期決算では、純利益が前年同期比で40%増加した。主力のテレビ事業が堅調だったほか、新規参入した太陽光発電事業が大幅増収を達成したという。

一方、本土市場は続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.98%安の3562.31ポイントで取引を終了した。消費関連株が安い。
石炭株、金融株、不動産株、素材株、ハイテク株、医薬品株、海運株なども売られている。半面、発電株は買われた。

亜州リサーチ(株)