31日の中国本土市場は、主要指標の上海総合指数が前日比59.45ポイント(2.06%)高の2938.75ポイントと反発した。

投資家心理が上向く流れ。
人民元安進行の懸念が薄らいだほか、中国の経済対策も改めて材料視された。中国人民銀行(中央銀行)は31日朝方、人民元レートの対米ドル基準値を3日ぶりに元高方向へと設定。31日の外国為替市場では、対米ドルの人民元が5月中旬以来の元高水準で推移している。中国の経済対策を巡っては、30日に開かれた中央政治局会議は新味に欠けるとの見方が多かったものの、これから効果が徐々に表れると期待された。会議では、積極的な財政政策と穏健な金融政策を着実に実施し、消費主導で内需を拡大させるなどの方針が決定されている。

一方、寄り付き直後に国家統計局などが発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.4となり、景況判断の境目となる50を3カ月連続で割り込んでいる。景気懸念がくすぶる半面、当局が景気テコ入れ策を強めるとの思惑も広がった。(亜州リサーチ編集部)

業種別では、消費関連の上げが目立つ。小売の王府井集団(600859/SH)がストップ(10.0%)高、自動車の安徽江淮汽車集団(600418/SH)が6.4%高、免税店の中国旅遊集団中免(601888/SH)が5.7%高、化粧品の上海家化聯合(600315/SH)が5.6%高、家電の海爾智家(600690/SH)が5.4%高、スーパーの永輝超市(601933/SH)が3.2%高、酒造の貴州茅台酒(600519/SH)が3.0%高で引けた。

不動産株も高い。金地集団(600383/SH)が6.0%、保利発展控股集団(600048/SH)が5.9%、新城控股集団(601155/SH)が4.5%、緑地HD(600606/SH)が4.3%ずつ上昇した。上述した中央政治局会議では、「住宅在庫の買い上げ」にも言及している。
業界関係者は下半期に同政策が本格的に始動すると予想した。

ハイテク株もしっかり。フィンテック大手の恒生電子(600570/SH)が5.8%高、スーパーコンピューター世界大手の曙光信息産業(603019/SH)が4.5%高、産業向けIoT事業の富士康工業互聯網(601138/SH)が4.3%高、フラッシュメモリー中国大手の北京兆易創新科技(603986/SH)が3.6%高、IC設計の上海韋爾半導体(603501/SH)が2.3%高で取引を終えた。資源株、医薬株、インフラ関連株、証券株、運輸株なども買われている。

半面、銀行株はさえない。中国工商銀行(601398/SH)と中国銀行(601988/SH)、中国農業銀行(601288/SH)がそろって2.3%、中国郵政儲蓄銀行(601658/SH)が1.8%ずつ下落した。通信株、公益株も売られている。

外貨建てB株相場は、上海B株指数が5.17ポイント(2.22%)高の237.95ポイント、深センB株指数が16.49ポイント(1.49%)高の1123.39ポイントで終了した。

亜州リサーチ(株)

編集部おすすめ