20日の香港市場は、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前日比245.41ポイント(1.36%)高の18258.57ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が75.99ポイント(1.21%)高の6381.50ポイントと6日続伸した。ハンセン指数は7月12日以来、約2カ月ぶりの高値水準を切り上げている。
売買代金は1768億160万香港ドルに拡大した(19日は1487億5470万香港ドル)。

米株高で投資家心理が上向く流れ。昨夜の米株市場では、米大幅利下げが米経済を支えるとの見方が改めて強まり、主要指標のNYダウが史上最高値を終値で更新した。中国経済対策の期待感も持続。中国の景気懸念がくすぶる中、当局は今年の経済成長目標(5.0%前後)達成のため、新たな景気支援策を打ち出すとの観測が広がっている。中信証券のアナリストは、9月中にも中国の預金準備率が0.25%引き下げられる可能性があると指摘した。

一方、寄り付き前に発表された実質的な政策金利となる最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」に関しては、銀行貸出の指標となる1年物LPRは3.35%、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRは3.85%に予想通り据え置かれた。相場に対する影響は限られている。(亜州リサーチ編集部)

ハンセン指数の構成銘柄では、医薬品開発受託機関(CRO)など創薬支援関連の上げが目立つ。無錫薬明康徳新薬開発(2359/HK)が11.7%高、薬明生物技術(2269/HK)が10.4%高で引けた。米政府と中国のバイオテクノロジー企業との取引を制限する「バイオセキュア法案」に関し、修正の可能性が伝わったことを材料視している。そのほか、医薬品メーカーの石薬集団(1093/HK)が6.4%高。
最大50億香港ドル(約920億円)規模の自社株買い計画が好感された。

中国不動産セクターも高い。中国金茂HD(817/HK)と世茂集団HD(813/HK)がそろって6.0%、万科企業(2202/HK)が5.4%、雅居楽集団HD(3383/HK)が2.4%ずつ上昇した。政策支援の動きを好感。外電は20日、「北京、上海、広州、深センの一線都市について、中国政府が住宅購入制限の一段の緩和を検討しているもよう」などと報じた。

自動車セクターも物色される。吉利汽車HD(175/HK)が7.0%高、小鵬汽車(9868/HK)が6.9%高、東風汽車集団(489/HK)と広州汽車集団(2238/HK)がそろって3.0%高で取引を終えた。販売好調が手がかり。業界団体のデータによれば、9月第2週(9~15日)の1日当たり乗用車小売台数は前年同期比で26%増加し、伸びは第1週(1~8日)の10%から加速している。また、中国製の電気自動車(EV)に課す追加関税について、欧州連合(EU)と中国が閣僚級会談を実施。追加関税に代わり、中国製EVに「最低販売価格」を設定する方向で検討を進めることに双方が合意したと伝わったこともEVメーカーにとって支援材料となった。

一方、本土市場は小幅ながら3日続伸。
主要指標の上海総合指数は、前日比0.03%高の2736.81ポイントで取引を終了した。不動産株が高い。銀行株、エネルギー株、海運株、素材株、酒造株なども買われた。半面、半導体株は安い。医薬株、自動車株、公益株、インフラ関連株も売られた。

亜州リサーチ(株)

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