週明け30日の香港市場は、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比501.38ポイント(2.43%)高の21133.68ポイントと5日続伸し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が209.89ポイント(2.88%)高の7509.79ポイントと12日続伸した。ハンセン指数は昨年2月以来、約1年8カ月ぶりの高値水準に達している。
売買代金は5058億3840万香港ドルと大商いが続き、前営業日に付けた過去最大を更新した(27日は4457億4770万香港ドル)。

前週の好地合いを継ぐ流れ。中国当局は今年の経済成長目標(5.0%前後)達成を図り、景気支援策を相次ぎ打ち出している。直近では、中国人民銀行(中央銀行)が29日、住宅ローン金利の変更を柔軟にすると公表した。広州市政府は29日、住宅購入の規制を全て撤廃すると発表。上海市や深セン市なども規制を緩和した。また、李強・首相は29日、国務院(内閣に相当)で演説し、新しい漸進的な経済政策を適時に検討するとしたうえで、すでに決定している政策の実施ペースを加速していくと述べている。そのほか、米インフレ鈍化で米利下げ継続の見方が強まっていることもプラス材料だ。

一方、官民で朝方公表された景況感指数は、強弱感が分かれている。国家統計局などが集計した9月の製造業PMIは49.8となり、予想(49.4)を上回ったものの、中小企業の割合が多い民間集計の財新中国製造業PMIは49.3となり、予想に反して前月から低下した。相場に対する影響は限定されている。(亜州リサーチ編集部)

ハンセン指数の構成銘柄では、医療サービス企業の阿里健康信息技術(241/HK)が29.9%高、自動車ディーラー大手の中升集団HD(881/HK)が15.0%高、ICファウンドリー中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が12.3%高と上げが目立った。


セクター別では、中国の不動産が急騰。融創中国HD(1918/HK)が55.0%高、広州富力地産(2777/HK)が34.5%高、合景泰富地産(1813/HK)が27.6%高、旭輝(884/HK)が18.7%高で引けた。

新興EV(電気自動車)関連も高い。蔚来集団(9866/HK)が16.8%、浙江零ホウ科技(9863/HK)が14.3%、小鵬汽車(9868/HK)が12.1%、理想汽車(2015/HK)が8.4%ずつ上昇した。

中国の証券・保険セクターも物色される。国聯証券(1456/HK)が21.4%高、中信証券(6030/HK)が21.2%高、新華人寿保険(1336/HK)が12.5%高、中国人寿保険(2628/HK)が6.3%高で取引を終えた。

半面、中国の銀行セクターはさえない。中国農業銀行(1288/HK)が2.7%、中国銀行(3988/HK)が1.6%、中国工商銀行(1398/HK)が1.5%ずつ下落した。足元で実施した金融緩和策に絡み、銀行収益に対する影響が懸念されている。格付け会社フィッチ・レーティングスはこのほど、中国が発表した一連の景気対策により、銀行の利益が圧迫される可能性があると指摘した。ただ、中国人民銀行は金利引き上げによる銀行の純利ざやへの影響について、「総じて中立」との見解を示している。

一方、本土市場は9日続伸。
主要指標の上海総合指数は、前営業日比8.06%高の3336.50ポイントで取引を終了した。不動産株が高い。ハイテク株、医薬株、消費関連株、金融株、資源株なども上昇が目立っている。

中国ではあす10月1日、国慶節の大型連休がスタート。中国本土市場は1~7日が休場となる。香港市場は1日が休場だ。

亜州リサーチ(株)

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