[実日ブックレビュー]2023年、東京オリンピック後の東京とは【Book】

本書の主となる舞台で非常に面白い設定なのが、オリンピック競技施設の跡地に建設された、学生が働きながら学ぶ大学「東京デュアル」だ。この大学は約500社のサポート企業と提携し、実務を通して社会を学ぶために多くの学生が通うマンモス校である。

これはつまり、現在の企業インターンシップの延長線上にあると言えるだろう。私が通っていた大学では、複数の企業と提携し、企業担当者の指導のもと、一定期間のみ現場で仕事を経験できるカリキュラムが導入されていた。これをさらに大きくしていけば、「東京デュアル」のようになるのかもしれない。

こんな学校があったら確かに早いうちから実務を学べるし面白そう!それに卒業後、条件付きでそのまま入社することも可能というから、就活したくない学生にとっては好都合だ。

しかし!一方で、同校は学生から様々なものを奪っていると捉えることもできる。教育する場所であるはずの学校が働かせる場となり、教育が経営化してしまっているのも問題視される。本書でも、それぞれの捉え方の違いによりデモが巻き起こっていくので、どのような論争となるのか、注目して読んでみてほしい。

働き方や外国人労働者の雇用形態、教育などを考えさせられるテーマであると同時に、仮部の生き様、本来の自分を取り戻していく過程も見どころである。『東京の子』は、まさにパルクールのごとく駆け抜けるような爽快感があり、私たちの未来に希望を感じさせてくれる一冊だ。

(フィスコ 情報配信部 編集 細川 姫花)

『東京の子』 藤井 太洋 著 本体価格1600円+ 角川書店





《HH》

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