レビュー

本の要約サービスを利用しているみなさんのような読書愛好家でも、読んでいない本についてコメントしなければならない場に、一度や二度は遭遇しているに違いない。友人や同僚との会話の中、あるいは顧客へのプレゼンテーションの中など、様々な場面で読んでいない本についてコメントする状況に遭遇する。

そして、そのたびにやましさを感じる。なぜだろうか。読んでいないのだから、やましいのは当然かもしれない。
とはいえ本書で明らかにされるように、「読んだ」と「読んでいない」の区別は簡単ではない。私たちは「読んでいない」ことを過度に気にしているのではないか。本書の中に引用される文学作品の登場人物、あるいは作家たちの考えを読むと、読書について当たり前と思っていたことが、じつは思い込みに過ぎないのでは……と気付かされる。
本を読んでいなくとも、その本について語ることは、当然できるのだ。
ただし本書は、本を読まないことを単に推奨しているのではない。テクストが秘めているものを深いところから汲み取るために、本を読んでいない状況を活かすことができると主張しているのである。そのためにはどういう認識、心構えが必要なのか。流し読みでも飛ばし読みでも構わない、本要約と本書を読んで、ぜひ考えてみていただきたい。そこに自己発見と創造への道がある。

本書の要点

・読んでいない本について語るとき、人々が感じるやましさを解消することが本書の目的である。
・「読んでいない」という状態は単純なものではない。「読んだ」状態との区分けも簡単にできるものではない。
・読んでいない本について語る「状況」について具体的に検討することで、本について語ることの意味が見えてくる。
・読んでいない本について語る際に注意すべき点を意識すれば、そうした状況を活用し、創造に向かうことすら可能である。



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