
株式会社大林組は、東日本大震災の津波で被災した塩害農地において、土壌改良と雨水による除塩を被災木材のチップ材などを活用して促進する「木材チップ塩成土壌改良工法」を開発したと2013年3月6日発表した。その効果は2012年4~9月の間に東北大学と共同で実施された宮城県岩沼市での実証試験で確認されている。
(参照:住友化学・日立造船が津波被害を受けた農地の修復技術を確立)
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2011年3月11日の東日本大震災では、巨大地震とともに発生した大津波の影響で広大な農地が被害を受けた。津波で被災した農地では、塩害から復旧するために、除塩事業が進められている。
通常作業では除塩用水を用地へ大量に引き込み、土の塩類を洗い流す。そのため、水田ではない排水不良の畑の除塩は難しかった。また被災して地盤沈下を起こしている地域では排水が不十分で除塩が困難になることも少なくない。
今回は農地用に木材チップと土壌改良材を農業機械のトラクターで混合。雨水の透水性を高めて塩分の排水を促す工法が考案された。実証試験によれば、塩分を5ヶ月で基準値以下まで抑えることができるという。
大林組は20年前からアラブの湾岸地域の塩分を含む油汚染土の浄化や緑化を行うため、塩害対策技術の開発と適用実績を積み重ねてきた。国内の工事現場でも、海面埋め立て地の塩分濃度が高い掘削土を雨水で除塩して、緑地造成を行った実績がある。
今後も津波で被害を受けた塩害地に加え、気候変動の影響などで大型化するハリケーン、人口増に伴い進展する沿岸開発やデルタ地帯などの塩害リスク対応として活用していく予定だ。