
※当記事は非営利で国際的な医療や人道援助を行う民間団体「国境なき医師団」様よりご提供いただいています。
2010年にはハイチの大地震、中国での地震や土砂災害、パキスタンの洪水など、大規模な自然災害が各国で相次いで発生しました。地震や台風、洪水などの自然災害は人びとの生活を一瞬にして破壊し、多数の死傷者を生み出すばかりではなく、被災者の心に深い傷を残します。
国境なき医師団(MSF)は大規模な災害が発生した場合、通常48時間以内に緊急援助チームを派遣し、現地のニーズに応じて援助活動を開始します。今回は、7月末に過去最悪レベルとも言われる大規模な洪水が発生したパキスタンを例に、MSFの自然災害における援助活動を水・衛生活動を中心にご紹介します。
水の塩素レベルを確認するMSFの水・衛生専門スタッフ
◆災害発生直後から援助開始まで
自然災害発生の情報が入り次第、MSFは情報収集を行い、緊急チームがいち早く現地入りして被害状況や援助ニーズの調査を行います。援助の必要性が確認されると、海外派遣スタッフに緊急派遣の要請を行うと同時に、緊急援助物資を被災地に輸送するための手配を行います。援助活動を開始する前段階として、物資調達を担当するロジスティシャンは援助活動を行うために必要となる、治療用のテントやトイレの設置、安全な水の確保、通信手段や移動手段の確保などを行います。また、緊急派遣チームは現地当局や他団体と連絡を取りながら、援助が一部の地域に集中し遠隔地への援助が滞ることがないか、調整を取りながら援助を行います。