松井秀喜氏が語るジャッジの凄さ 特別インタビュー(中)「素質は抜けていた」

松井秀喜氏が語るジャッジの凄さ 特別インタビュー(中)「素質は抜けていた」
ヤンキースのゼネラルマネジャー特別アドバイザーを務める松井秀喜氏【写真:大橋小太郎】
ブレーク中のジャッジとサンチェス「この成績の伸び方はちょっと説明できない」

 選手生活を終えて5年がたつ。米大リーグ、ヤンキースのゼネラルマネジャー特別アドバイザーを務める松井秀喜氏は傘下のマイナーリーグで打撃指導を担当する充実の日々を送っている。編成にも携わる現在の仕事や、日本球界への思いなどについてニューヨーク州にある1Aスタテンアイランドの本拠地で聞いた。全3回の特別インタビュー。第2回は「ヤンキースに誕生した新たなスーパースター候補生」について。(聞き手・江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授、神田洋)


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 この3年間は主にニューヨーク近郊の3Aスクラントン(ペンシルベニア州)、2Aトレントン(ニュージャージー州)、1Aスタテンアイランドを巡回している。時には、サウスカロライナ州の1Aチャールストンやフロリダ州の1Aタンパにも足を延ばすこともあるが、これまでに指導してきた選手の中で、早くもメジャーリーグのスーパースター候補生として台頭してきた2人の若手がいる。

 松井氏がマイナーリーグに関わり始めた13年にドラフト1巡目で入団したアーロン・ジャッジ外野手は今季メジャーで40本塁打を記録し、オールスター戦に選出された。ゲーリー・サンチェス捕手は昨季8月に昇格して20本塁打を放ち、今季は初の30本塁打。1990年代後半からデレク・ジーター内野手ら生え抜きの4選手「コア・フォー」を中心に黄金時代をつくったヤンキースだったが、その後はFA補強が中心で、育成が課題と言われていた。マイナーから巣立ってリーグを代表するスラッガーとなった2人が注目されている。

「ジャッジには『このくらいの選手になってくれたらいいな』というイメージがあった。その一番いいところまでいってしまった気がする。それくらい去年から今年にかけて変化した。技術も心も去年までなかったものを身に着けたのだろうと思う。そうでないとあんな風にはならない。マイナーで見ていた時は、ボールにバックスピンをかけて飛ばすというホームランバッターの打撃ではなかった。でも今年はそういうスイングになっている。

 天性というよりも彼が身につけたもの。あるいは、もともと持っていて一時的に失っていたものを取り戻したのか。この2、3年しか見ていないので、その辺は分からない部分がある。もちろんパワーはあってマイナーでもまともに当たればものすごい当たりのホームランを打った。でも今年はもっとレベルの高いところに行ってマイナーの時よりすごい成績を残している」

「サンチェスにしてもジャッジにしても、持っている素材、素質は抜けていた」

 昨季マイナー410打席で19本塁打だったジャッジは、今季メジャーで同じ410打席を消化した時点で32本塁打。サンチェスは昨季マイナー313打席で10本塁打、メジャー229打席で20本塁打だった。ともにマイナーで圧倒的な数字を残すことなく、メジャーでそれ以上の成績を挙げた。

「サンチェスにしてもジャッジにしても、この成績の伸び方はちょっと説明できない。今までにあまり見なかった例。ただ持っている素材、素質は抜けていた。ジャッジがうまくいけばこのくらいというところまでいったのなら、サンチェスは期待よりももっと上にいった感じ。メジャーであれだけ打てる感じはなかった。予想以上だった。ヤンキースタジアムは打者有利の球場だから、その辺で意識に変化はあったかもしれない。トレントンとスクラントンはすごく広く、投手有利と言われている。

 ジャッジに関して明らかに変化があるのは選球眼が良くなったこと。フォアボールがメジャーに行って増えた。三振も多いけど、四球を選んでいる。一番いい変化が出た。四球を選んでいるというのは、ボールを見極めているということ。ボールを見極められるのは、ボールを長く見ているから。ボールを長く見る感覚というものに気付き、自分のものにしたのではないかと思う」

 ジャッジは身長201センチ、体重127キロ。サンチェスは188センチ、104キロ。自分より大きく力も強い選手を指導することは、臨時コーチを務めた巨人の宮崎キャンプなど日本での指導ではまずないことだった。

「大きい選手に教える方が教えやすい。力があるわけだから、教えるときにこれができれば必ずある程度のところまでいけるという確信が持てる。タイプ的に似ていて肉体的に力を持っている選手に教えるのは自分の経験を生かしやすい。本人たちがどう受け取って料理しているかは分からないが『これが一番いいと思うよ』ということは伝える。今の立場だと、直接伝えるよりも打撃コーチと情報を共有してコーチから伝えてもらった方がいいこともある。コーチは選手を毎日見ているので、特に細かいことを伝えるのはいつも側にいるコーチの方が良いと思う。

 長距離打者はある程度長打が出やすいゾーンの球を狙う。基本的には甘い球をどう打つか。僕の場合最初から難しい球を意識することはほとんどなかった。簡単に言うと、長打を意識した上で確率を上げていこうとするタイプ。どちらかというと最初に長打ありきだった。その辺はぶれなかった。その時々の調子もあるし、行ったり来たりはするものだが、僕の場合その意識だけは変わったことがなかった」

(特別インタビュー第3回では、松井氏が後輩の巨人高木京、そして自身の今後について語る)

◇プレゼント 松井秀喜氏の著書「エキストラ・イニングス 僕の野球論」に本人の直筆サインを入れて2名にプレゼントします。ご希望の方は、氏名、年齢、住所、電話番号をご記入の上、「松井秀喜氏サイン本プレゼント応募」とタイトルにつけて、9月31日までにinfo@full-count.jpまでメールを送信してください。当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。

(神田洋 / Hiroshi Kanda)

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