[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 全国高校選手権新潟県予選準決勝 長岡向陵高 0-3 帝京長岡高 新潟市陸上競技場]
前半2得点の効果は、大きかった。前半21分、ドリブル突破を図ったFW小林拓夢のラストパスを的確なミートでファーサイドへ決めて先制。同29分には相手がコーナー付近でルーズボールの処理を誤ったところを見逃さず、密集地帯をかいくぐるパスワークでPA内を攻略し、小林拓が後方へ丁寧に落としたボールをゴールへ押し込んだ。
帝京長岡高のスコアラーの欄には、前線で相手を翻ろうする球さばきを見せていた高野歩夢の名前が2つ並んだ。小林拓とのコンビプレーは、夏の総体予選後に磨きをかけてきた。ブラジル代表のネイマールや、日本代表の宇佐美貴史らのプレー動画を見てイメージをふくらませているという高野は「お互い、自分の力で行きたいタイプ。でも、生かして、生かされてという形を考えてきた。1人だけじゃなくて2人でゴールへ向かって、ほかの選手も関わって得点できれば良いと思うし、以前より良い感じになって来た」と手ごたえを示した。足下での勝負が得意な高野と、フリーランニングで相手を引きはがす小林拓の連係は抜群だ。
帝京長岡は、兄弟チームである長岡JYFCの出身選手が過半数を占める。全日本ユース(U-15)フットサル大会で最多3度の優勝を誇るチームだけあり、足下の技術や狭い局面での連係を得意とする選手が多い。彼らとの交流が、長野県のFC CEDACでプレーしていた高野を長岡へ引き寄せた。「中学時代に北信越リーグで対戦して上手いなと思っていたし、北信越トレセンで一緒に活動するうちに、同じチームでプレーしたいと思うようになった」と越境入学に踏み切った高野は、技巧派集団の中でさらに技を磨き「最終的には足下で勝負してゴールを取りたい」と言い切るテクニシャンになった。