判定修正はわずか2回も“チェック”中断多発…家本主審も「本当に難しい」:J1第2節VARまとめ


 J1リーグは3~7日、第2節の9試合と第11節の1試合を行った。今季の開幕戦から再導入されているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)は2度のレビューを実施。サガン鳥栖浦和レッズ戦では鳥栖のPKがFKに変更され、横浜F・マリノスサンフレッチェ広島戦では広島にPKが与えられた。

■VARによるレビューは2事例
①3月6日 J1第2節 鳥栖 2-0 浦和 @駅スタ(PKに関する判定)

 0-0で迎えた前半8分、鳥栖MF仙頭啓矢の出した縦への浮き球パスが浦和MF伊藤敦樹の広げた腕に直撃。笠原寛貴主審は鳥栖にPKを与えた。だが、ここでVARが介入。伊藤の立ち位置がペナルティエリア外だったことが確認され、FKに訂正された。ハンドの有無を判断する際には主審の裁量が求められるため、オンフィールドレビューを行うのが通例だが、今回はエリアの内外というファクトが争点だったため、VARオンリーレビューで判定が覆された。

主審:笠原寛貴
VAR:飯田淳平
AVAR:村上孝治

②3月7日 J1第2節 横浜FM 3-3 広島 @日産ス(PKに関する判定)

 広島が2-1でリードして迎えた前半アディショナルタイム5分、広島MF青山敏弘が敵陣右サイドからFKをゴール前に送り込むと、横浜FMのFW仲川輝人がこれをクリアしたが、味方のDF松原健が高く挙げていたヒジに直撃。そのままプレーは続けられるも、攻守が切り替わった後、ピッチ中央での横浜FM保持時に今村義朗主審がホイッスルを吹いてプレーを止めた。

 今村主審はVARからの通信を受け、オンフィールドレビューを実施。約1分20秒間にわたってモニターで映像を確認した結果、松原のハンドが認められ、広島にPKが与えられた。広島にとっては前半11分の先制時に続いてのPK。1本目のキッカーを務めたFWジュニオール・サントスではなく、FWドウグラス・ヴィエイラがこれを落ち着いて決め、リードを2点に広げた。

主審:今村義朗
VAR:佐藤隆治
AVAR:相樂亨

■その他、VARチェックで中断したシーン
 上記のレビュー時以外にも、VARは常にピッチ上のプレーに目を光らせ、重大な誤審に対するチェックを行っている。時にはVARのチェックを待つため、主審がプレーを中断させるケースもあり、第2節の9試合と第11節の1試合では合計10の事例が見られたようだ。(※Jリーグ公式サイトのテキスト速報を参照)

①3月3日 J1第11節 川崎F 3-2 C大阪 @等々力(PKに関する判定)
 後半31分、DF松田陸(C大阪)がドリブル突破を仕掛け、ペナルティエリア際でDF旗手怜央(川崎F)を抜く際に転倒。PKかどうかが争点となったが、佐藤隆治主審のノーファウル判定が支持された。

②3月6日 J1第2節 仙台 1-5 川崎F @ユアスタ(ゴールに関する判定)
 前半33分、DF山根視来(川崎F)のクロスに対してDF蜂須賀孝治(仙台)がクリアを試みたが、ボールはゴールマウスへ。ゴールラインを割ったかが主な争点となったが、副審のゴールイン判定が支持された。

③3月6日 J1第2節 仙台 1-5 川崎F @ユアスタ(PKに関する判定)
 後半アディショナルタイム1分、左からのクロスを受けたFW石原崇兆(仙台)がペナルティエリア内でシュートを打とうとしたが、MF三笘薫(川崎F)が後方からブロック。PKかどうかが争点となったが、池内明彦主審のノーファウル判定が支持された。

④3月6日 J1第2節 徳島 1-1 神戸 @鳴門大塚(PKに関する判定?)
 後半34分、神戸のコーナーキックによる波状攻撃の直後、荒木友輔主審がいったん再開を制止。DF山川哲史のシュートをMF岸本武流が胸でブロックした際、ハンドによるPKが疑われたとみられるが、すぐにノーファウルが支持され試合再開となった。

⑤3月6日 J1第2節 徳島 1-1 神戸 @鳴門大塚(PKに関する判定?)
 後半アディショナルタイム2分、徳島の攻撃が途切れたシーンで荒木友輔主審が選手交代を制止。FW河田篤秀(徳島)のシュートをDF菊池流帆(神戸)が胸でブロックした際、ハンドによるPKが疑われたとみられるが、すぐにノーファウルが支持され試合再開となった。

⑥3月6日 J1第2節 横浜FC 1-2 大分 @ニッパツ(ゴールに関する判定?)
 後半アディショナルタイム6分、パワープレーからDF伊野波雅彦(横浜FC)が落としたボールをFW伊藤翔(横浜FC)がゴールに蹴り込んだ。だが、副審がここでオフサイドのフラッグアップ。VARのチェックを経ても判定は覆らず、ゴールは認められなかった。

⑦3月6日 J1第2節 鳥栖 2-0 浦和 @駅スタ(PKに関する判定?)
 前半27分、浦和の攻撃をDFエドゥアルドがロングキックでクリアした直後に笠原寛貴主審が再開を一時制止。VARが介入できそうなシーンはほぼなかったが、MF伊藤敦樹(浦和)のクロスをエドゥアルドが胸で止めた場面とみられる。結局、すぐに試合は再開された。

⑧3月6日 J1第2節 柏 2-1 湘南 @三協F柏(ゴールに関する判定)
 前半43分、FW大橋祐紀(湘南)の斜めのパスを受けたDF岡本拓也(湘南)がゴールに打ち込んだ後、福島孝一郎主審がキックオフを制止。岡本のオフサイドの可能性はないため、攻撃開始時まで遡ることになるが、疑われたのはMF茨田陽生(湘南)が奪ったシーンのファウルか、縦パスを受けた大橋のトラップ時のハンドか。ただ、いずれもファウルは認められなかったようで、ほどなくしてキックオフされた。

⑨3月6日 J1第2節 柏 2-1 湘南 @三協F柏(PKに関する判定)
 後半35分、セカンドボールを拾ったFW大橋祐紀(湘南)がトラップしたボールがペナルティエリア内でDF三丸拡(柏)の左腕に直撃。ボールがタッチラインを割った後、福島孝一郎主審がプレーを止めた。約1分間にわたって中断した後、湘南のスローインで再開。PKは与えられなかった。

⑩3月7日 J1第2節 横浜FM 3-3 広島 @日産ス(ゴールに関する判定)
 前半27分、広島はMF青山敏弘のFKをFWジュニオール・サントスがそらし、DF佐々木翔の折り返しはクリアされるも、セカンドボールを拾ったFWドウグラス・ヴィエイラのシュートがGKのファンブルを誘い、こぼれ球をDF東俊希がゴールに押し込んだ。今村義朗主審は耳に装着した機器に手を当て、VARのチェックが入ったことをアピールし、キックオフを止めた。理由はオフサイドの疑いによるもの。J・サントスがそらした場面の佐々木のポジション、そしてD・ヴィエイラがシュートを放った際の攻撃選手のポジションがそれぞれ問題になった。しかし、映像ではボールに関与した全員がオンサイドだったことを確認したようで、広島のゴールが認められ、横浜FMのキックオフで再開となった。

■VARのチェックは中断時以外にも…
 なお、上記の10事例はいずれもJリーグ公式サイトのテキスト速報で試合中断が明記されていた事例だが、本来VARは試合が中断しなくとも、①ゴール②PK③一発退場④人違いの判定に関する全ての事象をチェックしているということは整理しておきたい。

 そうした場面の中で、映像チェックが複雑な事例やチェックすべきシーンが多い事例について、結果的にチェック時間が長引き、試合を中断せざるを得なくなることがあるというだけである。

 またそうした数多のチェック事例の中でも、「レビュー」と呼ばれる判定修正の手続きに入るのは一握りだ。レビューはもともとの判定に「はっきりとした明白な間違い」や「見逃された重大な事象」があった場合にのみ行われるからだ。

 それゆえ、VARを担当する審判員が試合中に行うべき仕事は一見するよりも多い。国際試合の経験も豊富な家本政明主審は上記のJ1第2節・仙台vs川崎F戦でVARを務めた後、自身のTwitterで次のように述べている。

「昨日の試合の3点目のように
・オフサイドかどうか
・ゴールに直結する反則かどうか
・ゴールラインを割ったかどうか
という3つの事象が重なると見極めに時間がかかるし
・判定は正しいのか
・証拠となる映像は本当にないのか
を探しにいく自分がいて本当に苦しい90分だった

VARは本当に難しい」



 家本主審が指し示している事例はVARチェックが行われた上記③だが、家本主審のTwitter投稿によると、蜂須賀のクリアミスが「ゴールラインを割ったかどうか」だけでなく、クロスに反応していたMF長谷川竜也(川崎F)が「オフサイドかどうか」や、長谷川が蜂須賀に接触したシーンで「ゴールに直結する反則(があった)かどうか」も争点となっていたとみられる。このように、VARには一つの場面に複数のチェックポイントがあることも少なくないため、最終的な結論をすぐに出せるとは限らない。

(文 竹内達也)★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
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