日本テレビ系の演芸バラエティー「笑点」の大喜利メンバーを林家木久扇から引き継いだ立川晴の輔、はたしてウケているのか。世帯視聴率(関東地区)を見ると、お披露目の時の14.1%(4月7日)から10.4%(5月12日)と落ちてきているのが気になる。


 立川志の輔の一番弟子で、必ずしも知名だったわけではないが、師匠仕込みの滑舌の良さ、明るく軽妙なしゃべりを買われての抜擢という。関連番組のBS日テレ「笑点 特大号」にも10回以上出演していて、司会だったこともある三遊亭好楽は「すべったことのない天才」とほめる。


 ただ、本人も認める生真面目な性格で華がなく、大喜利でも印象は薄い。さっそく年下の春風亭一之輔に「なんか優等生が転校してきたみたいな感じだね」とからかわれたが、泥棒、ひま人、ハゲ、ケチなど強烈キャラクターのメンバーたちに囲まれて、埋没せずにやっていけるのか。


「いじられる優等生キャラは似合ってそうですよ。司会の春風亭昇太も『これでいこうよ』という感じだったしね。

でも、それって素に近いから、本人がどこまでギャグにできるか。自虐ネタにまでもっていければウケると思います」(演芸評論家)


 晴の輔は寄席では「時そば」や「井戸の茶碗」など古典を得意とするが、「笑点」の色が付きすぎると、落語家としてかえってやりにくくならないか。独演会では立ちトークや地口(ダジャレや語呂合わせ)で沸かせるが、芸歴27年、50を過ぎた噺家の芸じゃないといわれてしまう。


「まくらやくすぐりは気が利いているんだけど、人物の演じ分けがイマイチなんですよ。若い熊さんも年寄りのご隠居も、声の調子や話し方があまり変わらない。まあ、前座、二つ目なら仕方ないけど、真打ちになってもう10年なのに、ちょっと軽いんだよねえ。

そろそろ風格というか、貫禄というか、そういうものが欲しいよね」(落語立川流のファン)


 でも、その軽さ、中途半端さがテレビ向きとされたわけで、晴の輔はおかげで全国区の噺家に駆け上がった。いきなり順風が吹いてきて、早くも独演会のチケットはかなり先まで売り切れである。とにかく名前を知ってもらうということでは、「笑点」出演は間違っていないだろう。


「笑点」の晴の輔の起用は、86歳の木久扇からの若返りが狙いだが、日テレには別の思惑もあるらしい。


「東京には落語協会、落語芸術協会、五代目円楽一門会、落語立川流がありますが、55年前に司会だった立川談志と番組側がケンカ別れしてからは、談志一門は『笑点』に出演してきませんでした。晴の輔の起用で4団体がすべて揃ったわけで、日テレは落語界に大きな影響力を持つことになります。

これからは、『笑点』以外の番組にも立川流の落語家の出演が増えるでしょう」(前出の演芸評論家)


 晴の輔の噺家人生はこれで安泰かというと、決してそんなことはない。2代目林家三平は大喜利メンバーに抜擢されたものの、いっこうに面白くならず降板になった。うまい下手がはっきりわかるのもテレビだ。


(コラムニスト・海原かみな)