【芸能界クロスロード】
故・ジャニー喜多川氏の性加害を認めて、藤島ジュリー景子氏と東山紀之・井ノ原快彦の3人が謝罪会見して1年。「当事者の会」の平本淳也元代表と石丸志門副代表は7日付で会の解散を発表した。
振り返れば、当時は業界内でもこの話で持ち切りだった。開口一番出てくるのは「ジャニーズはどうなるのだろう」の言葉だったが、心配よりも対岸の火事のように他人事だった。元ジャニーズ社員はやはり気になっていたのか、会って話をした。改めて話の一部を紹介する。
「マネジャー見習時代、帰りが遅くなると合宿所としていた部屋に泊まったけど、先輩から“部屋の隅っこで寝たほうがいいよ”と言われた(笑)。自然に意味することはわかったが割り切っていた。でも、ジャニーさんは怒ることもなく、よくしてくれた。給料が手渡しの時代。たまに忘れていても、“給料日ですが”と言うと、ポケットから無造作に現金を取り出し渡してくれた。感謝の気持ちは今も忘れていない」
事務所と当事者の話し合いについては不安も指摘していた。
「当時、我々もタレントもジャニーさんの“明日から来なさい”の一声で決まってしまう。
実際、性被害者の在籍記録の調査に難航したという話が出ていた。すでに500人近い人は解決済みだが、「補償を行わない」と通知された200人近い人は再調査しているという。会は解散してもまだ完全決着がついたわけではない。
そんな折、性加害の補償を行う「スマイルアップ社」の代表・東山紀之が妻の木村佳乃とロスでドジャースの試合を観戦。一定のメドがつき息抜きだろう。テレビに映り込むのも織り込み済みだったと思うが、ジャニー氏を会見の席で「鬼畜の所業」と非難し、「法を超えた救済をしていく」の言葉は重い。
被害者からすれば、「優雅な旅行は完全に解決してからでは」と不快な思いになっても不思議はない。
1年経つと世間も忘れがちだが、当事者の会は定期的に会見を開き途中経過などを報告していた。一方、東山らは会見を行っていない。思い出すのは旧ジャニーズのメディア対応。タレントのスキャンダルなど負の報道に対し広報担当者がジャニーズ担当記者だけに都合のいい話だけを流してきた。
「すべてが解決した段階でスマイルアップ社は解体。東山も自由の身になる。その段階での会見では」と芸能関係者は予測する。
社長退任後の東山の身の振り方も気になるところ。俳優を「廃業」してまで取り組んだ性加害問題。きれいに解決すれば東山自身のイメージもよくなる。俳優業復帰の可能性も出てくる。今月末で58歳になる東山。まだ老け込む年ではない。
(二田一比古/ジャーナリスト)