世界的な注目を集めた2人の初対決は「勝者不在」が正解のようだ。11月の米大統領選をめぐり、民主党のハリス副大統領(59)と共和党のトランプ前大統領(78)が直接ぶつかった10日夜(現地時間)のテレビ討論会。
90分超の討論会終了後、トランプは「大勝利だ! ハリスは大負けした!」と勝利宣言したが、実際はズタボロだった。冒頭、歩み寄って手を差し伸べたハリスに虚を突かれ、ボソボソ言いながら渋々握手。動員数が自慢の集会をイジられると「私の集会は政治史上最大の、信じられないような集会だ」と激怒し、世界の指導者たちから「笑いもの」にされる「米国の恥」とこき下ろされて激高した。
挙げ句、バイデン政権の移民政策を批判せんがために「彼らは犬を食べている。猫を食べている。そこに住んでいる人々のペットを食べている」と根拠のない主張を展開。司会者から「オハイオ州スプリングフィールド当局が事実無根と表明している」と注意された。
テイラー声明が効果を発揮する可能性は?
討論会直後に実施されたCNNの緊急世論調査によると、63%がハリス、37%がトランプを「勝者」と回答。ハリスに追い風が吹いているように見えるが、上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)はこう指摘する。
「サンプル数が少ないですし、あまり参考になりません。ただ、トランプ氏にうまく反撃したハリス氏が民主党支持者らに評価されたのは事実。
そこへ現れたハリスの援軍の影響力はどうなのか。世界の歌姫テイラー・スウィフトがインスタグラムに「私はカマラ・ハリスに一票を投じる」と投稿。テイラーがトランプ支持だと誤解させる偽画像をトランプらがまき散らしたことに業を煮やし、絶妙なタイミングで熱烈な支持表明に至ったようだ。
「それぞれ3割強の両党支持者の投票行動は決まっています。残り3割ほどの無党派層もおおよそ二分される。民主党の戸別訪問でテイラー声明が効果を発揮する可能性はありますが、投票箱終了の瞬間まで勝敗は読めません」(前嶋和弘氏)
オクトーバーサプライズもあるし、どうなるか。