【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】


 もうすでに放送がスタートしているNHK・BSのドラマ「照子と瑠衣」が今、静かな話題となっているんだそうだ。


 ダブル主演をつとめているのが、風吹ジュンと夏木マリという大ベテランの女優だ。

このふたりは、今年73歳(共に昭和27年5月生まれ)と、“高年齢”なのだが、それをまったく感じさせない若々しさと生き生きとした動きを見せている。古い記者仲間などは「パッと見で20歳近く若く見えるんじゃないか」と言っていた。


 風吹も夏木も女優人生は長いが、主演女優という立ち位置ではない。2番手3番手ながら見る側に印象を残す、いわば〈主役を食う〉演技を残してきていて、そんな2人がダブル主演というのだから興味深い。


 実は、本当の駆け出しスポーツ記者の頃、風吹に取材したことがある。女優さんに声をかけてコメントをもらうなんて初めてのことで、ガチガチに緊張したことを覚えている。ちょうど風吹が映画「蘇える金狼」で故・松田優作さんと激しいベッドシーンを演じて話題になった直後だったので、そのシーンについて触れてみた。風吹は「みんな、その話ばっかり。次の仕事にそんなシーンはありませんから」と笑ってくれたが、こちらは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。もう40年以上も昔の話だ。


 その後、音楽プロデューサーでレストランオーナーの男性と結婚・離婚、幼い2人の子どもを女手一つで育て上げたが、そんな生活感をみじんも感じさせなかった。


 夏木は歌手として芸能生活をスタートさせ、フィンガーアクションで知られた「絹の靴下」が大ヒットした。

その後、演劇の世界で頭角を現し、音楽と俳優の二刀流で活動を続けてきた。


 我々ワイドショー時代のターゲットとしては、パーカッショニストの斉藤ノヴとの長年の事実婚に興味が向いた。十数年前に明らかにして「フランス婚」と言っていたが、僕なんぞはその時はじめてフランス婚(事実婚)という言葉を知ったものだった。その後、斉藤とは正式に入籍している。


 ともかく、多くの人、僕にとっても昔から知っている女優が年齢を感じさせない活躍を見せてくれることは、まだまだやっていけるかも……という気にさせてくれる。


「照子と瑠衣」は70代の女2人が自由を手に入れ、新しい人生に踏み出す物語。まだの人はぜひ。


(城下尊之/芸能ジャーナリスト)


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