宗主国の王様に取り入るため、ここまであからさまに媚びるのか。ちょっと一線を越えている。

28日行われた日米首脳会談で、高市首相がトランプ大統領に「2026年のノーベル平和賞候補として推薦する」と伝えたことである。


 日本テレビが朝方、独自ニュースとして「高市首相が推薦の考えを伝えることで最終調整」と報じギョッとしたが、高市首相が本当にトランプ大統領にそう伝えたことを、首脳会談後、米国側のレビット大統領報道官が記者団に発表した。


 メディアに公開された首脳会談の冒頭発言で高市首相は、トランプ大統領がタイとカンボジアの国境紛争を和平に導き、イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意を主導したとして、次のようにトランプ大統領を持ち上げていた。


「かつてない歴史的偉業だ。これだけの短期間に世界はより平和になった」


「世界平和と安定へのトランプ氏の揺るぎないコミットを高く評価する。私自身も強い感銘を受けた」


 高市首相の論理だと、だからノーベル平和賞にふさわしい、ということなのだろう。


■識者は「見識のなさ丸出し」とバッサリ


「安倍元首相がやったのと同じ手法です。安倍氏はトランプ氏の第1次政権時の2019年に、トランプ氏を北朝鮮問題への対応でノーベル平和賞に推薦したと伝えていて、それをトランプ氏にバラされた。国会で質問され、コメントを控えましたが否定しませんでした。安倍氏は当時、政府内の反対論を押し切って推薦を強行。トランプ氏を喜ばせるためなら安いものという考えだった」(官邸事情通)


 トランプ大統領がノーベル平和賞を欲しがっているのは周知の事実。これを逆手に、トランプ大統領に気に入られたい各国リーダーによる推薦が相次ぐ。

これまでに、イスラエル、パキスタン、カンボジアが推薦したことを公表している。日本もこれらの国の仲間入りだ。今年の平和賞発表前日、トランプ大統領は「2期目の9カ月間で8つの戦争を止めた」と自画自賛していた。来年こそは、ということなのだろうが、トランプ大統領の主張に対して、まともな国のリーダーや専門家ほど懐疑的で、平和賞に値しないと言っている。


 国際ジャーナリストの春名幹男氏が言う。


「高市首相は安倍元首相の子分ですから、同じことをする。ただ、安倍氏が推薦した頃はトランプ氏も恥ずかしそうに平和賞を欲しがっていたが、今は『自分がもらって当然』という態度で、各所への推薦依頼に動いている。ノーベル委員会の委員長もそれを知っているので困っている状況です。そんな中で、高市首相がトランプ氏を平和賞に推薦するというのは、見識のなさ丸出し。トランプ氏ほど非民主的な政治をやっている人はいない。ちゃんとした国のちゃんとした民主主義を学んできた人なら、トランプ氏を推薦するなんて口が裂けても言えません。日本は世界からバカにされますよ」


 SNS上でも「ノーベル賞推薦」が一時トレンドワードになり、「情けない」「赤面モノ」「正気の沙汰ではない」などと悲鳴が飛んでいた。


 高市政権は防衛費の前倒し増額などトランプ米国への朝貢外交が露骨。金箔のゴルフボールや安倍氏が使っていたパターの土産なら勝手にどうぞだが、ノーベル賞推薦はやりすぎ。日本国民として恥ずかしい。


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 小泉防衛大臣も「死の商人」として旗振り役を買って出ている。日本は本当に大丈夫なのか。●関連記事【もっと読む】『小泉“セクシー”防衛相からやっぱり「進次郎構文」が! 殺人兵器輸出が「平和国家の理念と整合」の意味不明』で詳報している。


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