「帝国ロシア復活」の妄想に取りつかれたプーチン大統領がおっぱじめたウクライナ侵攻は、開始から3年9カ月が過ぎた。「就任から24時間以内に終わらせる」と豪語したトランプ米大統領の返り咲きから10カ月あまり。

浮かんでは消えるウクライナ和平案がここへきて急展開している。トランプ大統領はゼレンスキー大統領に無理難題をふっかけ、米国が感謝祭を迎える27日までの回答を要求。またも物別れが懸念されたが、年内に「撃ち方やめ」となる可能性が見えてきたようだ。


■あくまでプーチン主導


 米国がウクライナに突きつけた和平案は28項目に上り、プーチン大統領の要求を丸のみしたも同然だった。ウクライナ東部ドンバス地方の2州をロシアに割譲▽ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)への非加盟を憲法に明記▽ウクライナ軍の規模制限▽米国は東部2州とクリミア半島をロシア領として承認▽対ロ制裁の段階的解除▽ロシアが再侵略すれば米国が軍事的対応を保証ーーといった具合で降伏に等しい内容。ゼレンスキー大統領が首をタテに振れるわけがなく、英仏独などの援護を頼みに修正を働きかけている。


 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、この和平案をめぐり、米国とウクライナの高官が23日にスイス・ジュネーブで協議。19項目に絞り込まれたと報じた。ゼレンスキーは声明で「微妙な点はトランプ大統領と協議する」としていて、憲法に関わる割譲やNATOに関する問題は先送りされたもようだ。FTは米国が24日にアラブ首長国連邦のアブダビでロシア、ウクライナと高官協議を実施したとも報じた。


 筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。


「和平案のポイントは、当事者であるウクライナとロシアが直接合意しないこと。

ウクライナが米国と合意し、米国がロシアと合意するという変則二段構え。というのも、戦時体制下のウクライナは2024年の大統領選実施を延期したため、プーチン氏がゼレンスキー氏の正統性を認めず、国家元首とみなしていないためです。侵略国が主張するデタラメという点で一貫している。内容を詰めていこうとすれば、これまで同様に着地点は見いだせないでしょう。手柄をあげたいトランプ氏はとにかく戦闘を止めて、停戦に向けた形をつくりたい。クリスマス休戦が現実味を帯びていると見ています。具体的にはクリスマスイブの12月24日から、ロシア正教のクリスマスにあたる1月7日までです」


 ゼレンスキー大統領は内政では汚職事件に直面し、国民は空襲警報の鳴らない夜を待ちわびている。選択肢は少ない。


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 高市首相がトランプ大統領に「2026年のノーベル平和賞候補として推薦する」と発言。さすがにやりすぎでは?●関連記事【もっと読む】『恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの』で詳報している。


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