NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」が低視聴率から浮上できず、1ケタ陥落寸前である。「史実と違いすぎる」「武将に重厚感がない」「メロドラマか?」「合戦シーンがウソっぽい」と、戦国ファンからそっぽを向かれてしまったのだ。


「太閤記の令和版と思って見始めた人は期待外れでしょうね。草履のエピソードも墨俣一夜城伝説もまるで違う話になっているし、鉄砲の三段撃ちが見せ場の長篠の戦いもナレーションでスルー。中高年男性たちが脱落しているようです」(テレビ情報誌編集デスク)


■「戦国らしくないから面白い」と中高年女性


 ところが、女性には人気上昇という。SNSなどでも「話が分かりやすい」「知っている史実でも違った解釈で納得」「三谷幸喜のコメディーっぽくて楽しい」「お市さまや兄弟の母親ら女たちが魅力的」と、推しの声が目立つ。歴史好きオヤジたちのダメ出しが、そのまま裏返しで支持されているのだ。


 とりわけ秀長役の仲野太賀の好感度が高い。武張ったところがなく、聡明なんだけど表に出さない、面倒くさい兄・秀吉を立てて出しゃばらない、いくさ嫌いで女たちにやさしいと、武将らしくないのがいいらしい。


 兄弟に絡む女性たちが多彩なのもウケている。白石聖の直、宮﨑あおいの市、吉岡里帆の慶、坂井真紀の母なか、これからは乃木坂46・井上和の茶々ら、物語が大きく展開するときに、女性たちがダブル主演のように重要な役割を果たす。そう、「豊臣兄弟!」は女性ドラマでもあるのだ。


「コメディーで恋愛ドラマで家族物語と、中高年女性の大好物がたっぷり詰まっています。日曜の夜は夕食の後片付けを急いで済ませ、8時にはテレビの前にという、昭和の風景が復活してます」(前出の編集デスク)


 お馴染みの合戦シーンや史実をすっぱり捨てたのはここが狙いだったのか。

これからも本能寺の変、秀吉の織田家中乗っ取り、お市の自害、天下統一、朝鮮出兵と波乱は続く。秀吉の傍若無人、女狂いはいよいよ手が付けられなくなり、弟・秀長と女たちはそのたびに翻弄される。いや、そこがこのドラマの見どころということなら、女性視聴者を飽きさせることはなさそう。


 石田三成役の松本怜生、本多忠勝役の夏生大湖、織田信孝役にサッカー三笘薫の兄・結木滉星と、おばさま殺しのイケメンもそろった。視聴率はともかく、注目度、話題性はますますアップしそうだ。


(コラムニスト・海原かみな)


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