【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
朝ドラ「風、薫る」の話題をとんと聞かなくなった。放送開始直後こそ「視聴率ワーストスタート」「内容が暗い」とネットがざわついたが、その熱もあっという間にしぼんでしまった。
話題作にはいち早く飛びつき、面白いか否かを瞬時にジャッジする。そして反応が鈍いと見るやあっさり次の話題へ移っていく。「風、薫る」もまた、そんなネット社会の悪癖に巻き込まれてしまった印象がある。
そもそも半年という長いスパンで人物や物語をじっくり積み重ねていく朝ドラを初週だけで良し悪しの判断をするのは無理がある。しかし、序盤の盛り上がりやSNSでの拡散力だけで作品イメージを大きく左右してしまうのは考えもので、主人公のりん(見上愛)と直美(上坂樹里)が看護婦見習になってからは俄然、面白くなってきた。
帝都医科大学付属病院の医師たちはプライドが高く、クセ者ぞろい。院長役の筒井道隆を筆頭に森田甘路、古川雄大、平埜生成ら朝ドラではおなじみの顔ぶれが並ぶ。なかでも印象的なのが直美にいいように振り回される外科助教授役の坂口涼太郎。ひと目で伝わるコミカルな芝居が実におかしい。ちなみに、彼を芸人の「ひょっこりはん」だと勘違いしていた人がいて大笑い。坂口は「なつぞら」「エール」「おちょやん」「らんまん」など朝ドラの常連だ。
■意外な出演者が多くしかも多士済々
最近、出番が少なくて残念なのが大山捨松役の多部未華子。
入院患者役としてサプライズゲストの登場にも密かに期待している。直美が担当する患者・丸山忠蔵(若林時英)のモデルは新宿中村屋の創業者だそうだ。今後の物語への関わりも気になる。
勝海舟役の片岡鶴太郎はまだ数回しか登場していないが、さすがにただのモブキャラということはないはず。
ナレーターも兼ねる研ナオコ演じる占い師・真風も強烈。平成ギャル顔負けのメークは、もはやこの世のものとは思えないインパクト。彼女を見ていると「風、薫る」は実はかなりコメディー寄りなのではと思えてくる。双子コンビのザ・たっちが「どっちが柴田屋かわかるかい?」とネタもやっていた。
トレインドナースものとはいえ、やっていることは「ナースのお仕事」と大差ないと言ったら怒られるだろうか。
(桧山珠美/コラムニスト)

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