スマホで支払いを行う「スマホ決済」が広まってきていますが、そのなかでもQRコード決済はわずか数年で様々な企業がサービスをスタートしました。ここではQRコード決済のなかでも特に人気、注目度の高い6つのサービスを紹介。

それぞれの特徴を理解して、利用シーンや目的に合わせて賢く使いこなしてみましょう。スマホ決済に詳しい、評論家の岩田さんにもお話を伺いました。

【教えてくれた人】

岩田昭男さん

クレジットカード評論家として、30年近く取材・研究に携わっています。近著に「キャッシュレスで得する! お金の新常識」(青春出版社)など。


ペイペイのスタートで楽天・LINEの2強体制が変化!?

QRコード決済は日本ではオリガミペイが2015年10月にサービスを始めたのが最初。だが初期費用と手数料が安く、中小店舗への普及が期待され、わずか2年半で多くの事業者が誕生しています。

そんなQRコード決済の王座を狙うのが楽天ペイとLINEペイ。

岩田さんは両者の強みをこう語ります。

「楽天ペイの持つ楽天会員数約9900万の基盤は強力。QR決済と楽天カードからの引き落としで1.5%ポイントが付くのも魅力です。LINEペイも登録ユーザー数は3000万人以上。QR決済限定でポイント還元率を3%上乗せする特典も。加盟店向けには、一部3年間手数料無料の施策も展開しています」

一方、そんな勢力図を揺るがすのが10月に提供開始したペイペイ。

ソフトバンクとヤフーを後ろ盾に幅広い業種の取り込みを狙います。

「ペイペイでは2021年9月末までユーザースキャン方式の店舗手数料が無料。アリペイとも提携し、アリペイ決済の手数料も同時期まで無料に。こちらも店舗側のメリットは絶大です」(岩田さん)

ほかにもNTTドコモのd払い、アマゾン利用者なら登録が簡単なアマゾンペイもQR決済を開始。その覇権を虎視眈々と狙っています。



【その1】ソフトバンクやヤフーと連携した様々な特典を予定!

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

ペイペイ(運営:PayPay)

ソフトバンクとヤフーの合弁会社が運営。ユーザースキャン方式とストアスキャン方式の両方に対応し、決済が完了すると、0.5%相当のボーナスがもらえます。

専用アプリのほか、今後Yahoo! JAPANアプリでも使えます。加盟店ではアリペイのQRコード決済にも対応。2018年10月5日に提供開始。

【登録方法】

1.Apple StoreかGoogle PlayからPayPayアプリをダウンロード・インストールします

2.電話番号とパスワードか、Yahoo! JAPAN IDの入力でログインし、SMS認証。支払い情報を登録します。

【特典】

●支払額の0.5%相当のPayPayボーナスを還元(ひとりにつき付与上限は5000円/月)

●新規登録時に500円相当のPayPay電子マネーも進呈

【各種データ】

コード表示方式:消費者提示型(バーコード)、店舗提示型(QR)

支払いタイミング:前払い、後払い

支払い方法:銀行口座からチャージした残高(PayPayマネー、Yahoo! マネー)、クレジットカード

加盟店数:約1万1000か所(2018年10月5日時点、予定含む)

(白木屋、メガネドラッグ、和民、ジーンズメイト、マックハウス、earth music&ecology、第一交通産業、ドラッグ新生堂など)


【その2】楽天カードに紐づければ還元率1.5%のポイントが貯まる!

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

楽天ペイ(運営:楽天)

楽天のQRコード決済機能(※1)。ユーザースキャン/ストアスキャンに対応しており、楽天会員ならすぐに始められ、楽天IDに登録したクレジットカード情報を使って決済を行います。

楽天カードを紐づければ通常の3倍の楽天スーパーポイントを付与。コンビニ、飲食店、アパレル、美容関連など様々な場所で利用可能。

※1:QR/バーコード決済はオフライン決済。これ以外にオンライン決済にも対応

【登録方法】

1.楽天会員に登録し、会員IDを取得。楽天IDに紐づけるクレジッカード情報を登録します。

2.スマホに楽天ペイアプリをインストール後、ログイン。

登録したカードを選び、セキュリティコードを入力。

【特典】

●楽天スーパーポイントを0.5%還元。楽天カードの登録でさらに1%還元

●初めての支払いで最大1000ポイントを追加

●貯めたポイントは1P=1円で利用可能。

【各種データ】

コード表示方式:消費者提示型(QRまたはバーコード)、店舗提示型(QR)

支払いタイミング:即時払い、後払い

支払い方法:クレジットカード(VISA、Mastercard、JCB<楽天カードのみ>)、楽天スーパーポイント

加盟店数:120万か所(※2)

(ローソン、魚民、白木屋、ピザーラ、AOKIなど)

※2:楽天カード、楽天Edy、楽天ペイなど楽天の決済サービス導入箇所の総計。楽天ペイ単体の導入店数は非開示


【その3】2%即時割引に加えておトクなクーポンも発行!

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

オリガミペイ(運営:Origami)

2015年10月に運用を開始したQRコード決済の先駆け。2%の即時割引が特徴で、引き落とし先をクレジットカードにすればカードポイントも貯まります。おトクなクーポンも随時発行。

【登録方法】

1.アプリをダウンロードしてアカウント作成。メールアドレス、携帯電話番号、4桁の認証コードを入力。

2.手持ちの銀行口座の口座番号やクレジットカードのカード番号と名義を入力すれば終了。

【特典】

●ポイント付与はなし。即時割引(店舗ごとに異なる)に加え、随時割引クーポンが配信されます。

【各種データ】

コード表示方式:消費者提示型(QRまたはバーコード)、店舗提示型(QR)

支払いタイミング:即時払い、後払い(クレジットカードの場合)

支払い方法:銀行口座から即時引き落とし、クレジットカード(VISA、Mastercard、セゾン発行のAmerican Express、JCB)

加盟店数:約2万か所(今後10万か所に拡大予定)

(日本交通、ローソン、ロフト、AOKI、ワタミ、阪急百貨店、阪神百貨店など)


【その4】クレジットカードなしでもケータイ料金と合算払い可能

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

d払い(運営:NTTドコモ)

2018年4月に運用開始。客がスマホに表示したQRコードやバーコードをPOSレジやタブレットで読み取り決済します。ドコモ契約者はドコモのケータイ電話料金との合算払いも可。

【登録方法】

1.d払いアプリをインストール後、dアカウントでログイン。職業、利用目的を設定します。

2.クレジットカードの情報を入力して登録完了。カードは3枚まで登録でき、登録削除も自由です。

【特典】

●dポイントを0.5%還元

●定期的にお得なキャンペーンを実施中

【各種データ】

コード表示方式:消費者提示型(QRまたはバーコード)

支払いタイミング:後払い

支払い方法:ドコモケータイ電話料金合算払い、クレジットカード(Mastercard、VISA)、dポイントを充当、ドコモ口座残高を充当

加盟店数:約1万6500か所(18年9月時点)

(ローソン、ツルハグループ、メガネスーパーグループ、ユナイテッドアローズなど)


【その5】多彩な決済機能に加えて送金機能、割り勘機能も搭載!

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

LINEペイ(運営:LINE)

QR/バーコード決済、LINE Pay カード、非接触型決済(QUICPay/今秋開始)の3つの決済(※3)に加え、送金・割り勘機能も搭載。LINEペイの口座にチャージしたお金から支払いするごとに、前月利用実績に基づきLINEポイントが還元。さらにQR/バーコード決済のみ3%を上乗せ付与されます(送金は付与対象外)。

※3:QR/バーコード決済、LINE Pay カード、非接触型決済(QUICPay)はオフライン決済。これら以外にオンライン決済にも対応

【登録方法】

1.LINEアプリの「ウォレット」タブ上部にある「LINE Payをはじめる」を選択します。

2.サービス内で銀行口座情報を登録します。これにより銀行口座からのチャージや、出金・送金も可能になります。

【特典】

●LINEポイントを0.5~2%還元(利用実績でランク分けした「マイカラー」により異なる)

●コード支払い利用で、マイカラー所定のポイントに3%上乗せ(18年8月から1年間)

●1P=1円で利用可能。

【各種データ】

コード表示方式:消費者提示型(QRまたはバーコード)、店舗提示型(QR)

支払いタイミング:前払い(※4)

支払い方法:現金・銀行口座からチャージした残高、クレジットカード(※4)

加盟店数:9万4000か所(18年7月時点)

(ローソン、サンドラッグ、ココカラファイン、ロフト、阪急百貨店、阪神百貨店、ビッグエコーなど)

※4:LINEのファミリーサービスの一部のみにて、クレジットカードを連携して後払いが可能


【その6】Amazon利用者なら面倒な登録なしに使える!

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

アマゾンペイ(運営:アマゾン)

Amazonショッピングアプリを利用している人は、新たなアプリインストールや新規登録不要ですぐに利用できます。QRコードは30秒ごとに更新されるなど安全性も高いです。

【登録方法】

1.Amazonショッピングアプリをダウンロードし、アプリを開く。

2.Amazon.co.jpに登録しているメールか携帯番号アカウント、パスワードでログインする。

【特典】

●初めてのアマゾンペイの利用(オンラインもしくはQRコード決済)でAmazonポイントを300ポイントプレゼントするキャンペーンを実施中

●Amazon Mastercardの利用で、Amazonポイントを購入金額の1%分付与

【各種データ】

コード表示方式:消費者提示型(QRまたはバーコード)

支払いタイミング:後払い

支払い方法:クレジットカード(VISA、Mastercard、American Express、JCB、Diners Club)

加盟店数:東京都、福岡市など合わせて数十店舗


まだまだある!その他のQRコード決済サービス

QRコード決済サービスはほかにも銀行系、ITベンチャー系など様々。特に銀行口座と連携し、クレジットカード不要なサービスに注目です。

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

pring(運営:pring)

銀行口座直結で簡単にお金のやり取りが可能。店舗でのQRコード決済、ユーザー間の送金、銀行口座からのチャージ、銀行口座への出金がすべて無料で行えます。

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

はまペイ(運営:横浜銀行)

横浜銀行のキャッシュカードか横浜バンクカード所有者ならすぐに登録可能。店舗側のQRコードを読み込むかアプリで使う店にチェックインして決済します。

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

ゆうちょペイ(運営:ゆうちょ銀行)

19年2月~(予定)

ゆうちょ銀行の口座保有者であれば、代金を即時引き落とし可能。利用上限額を自由に設定できるため、使いすぎを防げます。

注目の「QRコード決済サービス」6事業者をわかりやすくガイド

名称未定(運営:KDDI)

18年度中(予定)

じぶん銀行からのオートチャージや、個人間の送金などが可能なau WALLET。新機能としてQRコード決済が追加されます。

Bank Pay(運営:メガバンク)

19年度中

三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクがQRコード規格を統一した決済手段。第三者を介さず銀行と直接やりとりでき安心です。

文/平島憲一郎 監修/岩田昭男