1988年『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』編 押井守の映画50年50本

――アニメとしてのケレン味は、どうでしょう

押井 ケレン味は少ないね。富野さんはアニメーション特有の快感原則を好まない人なんだよ。現場のアニメーターに聞いたことがあるんだけど、ドッカーンッみたいなさ、豪快にすっ飛ばした動画の描きかたをすると「直せ。ちゃんと動かせ」と言ってくるらしい。無重力空間の描写と重力の表現にこだわる人だよね。そういう意味ではアニメ的なケレン味が少ない監督。だけど『逆襲のシャア』は、小惑星アクシズを押し返す場面がまさにそうだけど、場面づくりや描写、あるいはシチュエーションにケレン味があふれている。だから本当にいい映画だよ。

――なるほど。

押井 いつもは本音を隠している、そういう監督としての立ち振る舞いに僕は共感するし、とても参考にさせてもらった。その富野監督という人間の「本音」や「苦労人として隠してきた部分」が『逆襲のシャア』には出ている。真っ正面から富野さんが本音を描いた。そういう記念すべき作品であり、唯一の映画。『逆襲のシャア』を語るってことは、「富野さんを語ること」と同義なんだよ。だけど、富野さんのことが好きでも嫌いでも、この『逆襲のシャア』はオススメだね。日本のロボットアニメが到達したひとつの極点だよ。たとえガンダムやロボットアニメに興味がなくても、ドラマとして、人物として鑑賞できる作品のはずだよ。

――映画が完成してから30年経ちましたが?

押井 いまの人が見ると、ものすごく魅力がある作品だと思う。「世の中は消えてなくなるかもしれない」、あるいは「世の中なんて消えてなくなれ」と思っている人も多いはずだから。だけど富野さんは「悪意」だけで作ってはいないんだよね。「人類を粛正してやる」という台詞は、当時の富野さんが「絶望」していたから出てきた言葉。つまり、突然キレてナイフを振り回す悪意とは異なる。だからこそ、現代社会に閉塞感をいだいていたり、絶望している人にとっては、救いになる映画かもしれない。同時に映画としてカタルシスもちゃんとあるから、いろんな意味でオススメしたいし、大好きな作品です。

【後記】
書籍版にはロングバージョンを収録予定です。おたのしみに!!


予約受付中『押井守の映画50年50本(仮)』

著者:押井 守
定価:本体2,200円+税
発売:2020年8月8日
発行:立東舎

(執筆者: リットーミュージックと立東舎の中の人)

―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』

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