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(レポート)インド政府は間もなく2019/2020年度(2019年4月~2020年3月)予算案を発表する。国内では、経済成長を促進し、経済を成長軌道に戻す対策が打ち出されるとの期待が高まっている。景気の減速は1-3月期の国内総生産(GDP)や最近の経済指標からも明らかである。このため、先の下院総選挙が与党圧勝に終わったにもかかわらず、投資家はインド経済の先行きを懸念している。
新予算案は、ナレンドラ・モディ首相が新財務大臣に任命した二ルマラ・シタラマン氏によって7月5日に発表される。内容は2月に発表された暫定予算案を大筋で踏襲するものとなる見通しであるが、今回は景気回復と雇用創出に力点が置かれる可能性が高い。
注目すべき点は、政府が財政緊縮にどの程度コミットするかだろう。経済成長は減速しているものの、歳出拡大余地は限られている。今年度の財政赤字幅は、2月に発表された暫定予算案では対GDP比3.4%と想定されていた。税徴収の実態と歳入のトレンドは、今年度予算案で打ち出せる景気刺激策が限られていることを示している。
税制改革に対する国民の期待値も高い。現行の税法は複雑なうえ、抜け穴と控除項目が多すぎることから、新予算案には直接税法の簡素化、税控除の撤廃、課税ベースの拡大に関する政府案が盛り込まれるとみられている。