牡蠣がおいしい季節です。店頭では「生食用」と「加熱用」が並んでいますが、あなたはどちらを買っていますか?
「生食用は、生でも食べられるほど新鮮でおいしいってことですよね? 牡蠣鍋にする時も、牡蠣フライにする時も、生食用を買ってます」という人、実はソンをしているかも知れません。


生食用の牡蠣はダイエットしていた!?

牡蠣はプランクトンを食べて体に蓄積するため、プランクトンと一緒にノロウイルスを溜め込んでいる可能性があります。牡蠣を食べてあたるというのは、ノロウイルスが原因です。
ノロウイルスは加熱しないと死なないため、生食用の牡蠣は、牡蠣を海水に入れた状態で紫外線を照射し、殺菌して2日ほど絶食させています。
この「絶食期間」を経ることによって、生食できるようになるのですが、ダイエットすることで身がヤセ、加熱用に比べると旨みが損なわれてしまいます。
食べ比べてみると、加熱用の方が太っていてクリーミー。一方、生食用の方はスリムで、あっさりした味わい。
鍋やフライで食べるなら、ダンゼン加熱用がおすすめなのです。

生食用でもノロウイルスはゼロではない

しかも、絶食した生食用でも、ノロウイルスは発病するだけの数が残っている可能性があります。出荷時に菌検査をしますが、ウイルスは検査が難しい上、1gあたり100個の菌が認められている腸炎ビブリオ菌などに比べ、ノロウイルスは10個でも発症する可能性があり、見つけにくいのです。
生で食べる牡蠣はツルンとしておいしいものですが、同じ牡蠣を食べても、ノロウイルスに免疫を持つ人や胃酸が強い人はあたりにくく、ノロの型によってあたりにくい血液型もあったりします。
疲れていたり、体調が悪い時など、免疫力が落ちている時はノロウイルスに感染しやすいので注意しましょう。小さい子どもやお年寄りは、生食しないのが無難。
85℃以上の温度で1分以上の加熱が、ノロウイルスには有効です。

貝は「湾→砂場→岩場」の順で毒が蓄積しにくくなる

ちなみに、牡蠣にノロウイルスが蓄積しやすいのは、牡蠣が湾に生息しているから。湾は海水が循環しにくく、ウイルスや有毒物質がたまりやすいのです。牡蠣と同じように、ホタテ(養殖)も湾にすむので要注意。ホタテの場合は「ウロ」と呼ばれる黒い部分にカドミウムなどがたまりやすいので、取り除いて食べるようにしましょう。
毒が最も溜まりにくいのはサザエやアワビなど、海水の循環が早い岩場にすむ貝で、次に溜まりにくいのはアサリやホタテ(天然)などの砂場の貝です。


【監修】からだにいいこと編集部 

http://www.karakoto.com/index.php

【参考】厚生労働省 ノロウイルスQ&A

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html