
「ビギナーズラック」という言葉を直訳すると「初心者の幸運」になる。なぜ、練習と経験を積み重ねてきた人ではなく、初心者に幸運の女神が微笑むのだろうか。心理学者の内藤誼人先生に聞いた。
■プロとビギナーの違い
「心理学的な調査の結果、スポーツやビジネス、ギャンブルなどジャンルに関係なく、いわゆる『ビギナーズラック』と呼ばれるものは存在しないことがわかっています」(内藤先生)
ビギナーズラックは存在しない。だが、世の中にはそう考えなければ説明がつかないものが多くはないか……。
「初心者が出した結果は非常に目立つため、ビギナーズラックが存在するように思えるだけです。『初めてなのに成功した』というのは、プロが同じ結果を出すことに比べて印象的です。プロは結果を出すのが当然と思われていますが、初心者は結果を出せないのが当たり前です。その初心者が素晴らしい成果を挙げれば、人の記憶に残りやすいですよね」(内藤先生)
確かに初心者の出した結果は、人の記憶に残りやすい。これがビギナーズラックの正体だったとは、驚きだ。
■誰が幸運をつかんだかによって、印象は大きく変わる
ビジネスのシーンではどうだろうか。実力が必要とされる世界で、新人がいきなり結果を出すことがある。これは「ビギナーズラック」と呼ぶほかないのではないだろうか。