「家も車も買ったことがない」印スーパーリーグ所属の元J1カレン・ロバート、その堅実すぎる金銭感覚

「家も車も買ったことがない」印スーパーリーグ所属の元J1カレン・ロバート、その堅実すぎる金銭感覚

 インドではJ1時代よりも高額な年棒を受けておきながら、2ヶ月で2万円しか使わない、弁当はスーパーのほうが安いとスタッフを叱責するなどプロスポーツ選手にしては”堅実”な金銭感覚を披露したカレン・ロバート。その根底には、両親から受け継いだものが大きいという。

 なぜ、カレンの両親はそういう金銭感覚を子供に植え付けようとしたのだろうか。

 「両親は、年金をもらわないという前提で生きていて、そのために若い時からいろいろ準備を徹底していましたね。たとえばイギリスのブライトンというところに家を七百万円(日本円)くらいで買って、それが今三倍になっていたりするわけです。考えているんだな、と子供心にも思っていました」

 驚くなかれ、カレンは未だに家も車も買っていない。

「引退したときにすぐ家を買う頭金は用意しています。船橋にするか、幕張にするかは考え中ですけど。車もクラブの社用車は二台ありますが、一台六十万円くらいでしたかね」

 しかし、船橋のファミレスに乗ってきた自転車は、さすがに十万円くらいするロードバイクのようなものだった。練習の一環として使っているものだろうか。

 「いや、寮のおばちゃんに借りました。イチフナで練習するときは、今も寮に住まわせてもらってて、おばちゃんとも未だに仲がいいんで、船橋なら慣れているし、関東なら別に車もいらないし、必要な時はああやって自転車借りてます」

◆人生で一番大きな買い物は木更津のフットサルコート

 今のところ、人生で一番大きな買い物はこの木更津に作ったフットサルコートだという。

「タイの年俸をあてにして買ったんですが、(静岡在住の)嫁にはめっちゃキレられましたね。“なんで車買ってくれないの?”と。確かに一理あると思います」

  もっとも、経営知識が全くないサッカー選手が初めてフットサルコート運営に手を出したら、「武士の商法」になってしまう恐れもある。

 「僕の場合、スクールを並行してやっていますから何とかなっていますが、確かにフットサルコート単体だと苦しくなるでしょうね」

 フットサルコートを、もし選手が経営するなら注意すべきは何か。

 「全く知らない土地ではなく、地元でやることです。僕の場合でいうと、“イチフナのカレン”と今でも言われることが多く、千葉県のサッカー関係者もよく知っていますから、やるなら千葉しか考えられません。そこで関心を持ってもらい、お客さんに来てもらうには自分のステータスや実績は、遠慮なく出すべきというのが僕の考えですね」

◆老後に備えて給付型生命保険に加入

 もう一つ、彼のマネープランで忘れてはならないのはプルデンシャル生命の米ドル建て保険だ。

「確か伊野波(※ヴィッセル神戸所属・伊野波雅彦)から勧められたと思うんですが、あれはやっててよかったと思います。ドルがめっちゃ下がった120円のころに始めたのですが、僕の場合で言うと年三回の支払いを十年続けて、そこから寝かせて、上乗せを加えて六十歳になったら月々何十万円ずつ支払われるという仕組みなんです」

 この保険はサッカー選手のケガにも対応してくれるのか。

「ケガについては別個アフラックの入院保険、ガンについてはソニー生命に入っています。Jにいたときはリーグが保険に入れてくれていたのですが、その意味でいうと今やっちゃったらちょっと危ないですね」

 今18、19歳でプロ入りする選手に、お金の考え方を教えるとすればどのようなものか?

「僕は幸いプルデンシャルの十年を払いきることができましたけど、やっぱり先が計算できない職業なんで、三割とか一定のルールを自分なりに決めて、そのお金は消費してはいけない。それも単に銀行で寝かしているだけでは発展性がないんで、誰か信頼できる人を見つけて積み立てとか何らかの投資に回すという意識は大切だと思います」

◆日本よりも稼げるアジアサッカー市場

 だが、この「信頼できる人を見つける」というのがかなりの難題に思える。実際、ボブ・サップはNFL引退に追い込まれたときに全財産を失うという経験をしているという。

「サッカー仲間の紹介は信頼してもいいかなと思います。僕の場合は伊野波でしたけど、あとはある程度大きな会社で、担当者の人柄がよければ大丈夫でしょう」
 
 筆者が、かつてJ1、そして現在は中国二部の某クラブを率いる監督の話をするとカレンはこうつぶやいた。

「たぶん、日本よりはもらっているんだろうな……」

 確かにその通りで、今やアジアサッカーにおいてJ1は一番儲かるリーグではない。アジアの中には、それ以上にもらえる国がいくらでもある。おそらく、今のカレン・ロバートのキャリアは、市船でFマリノスの選手を三人ドリブルで抜いたとき、高校卒業のときに夢見たものではないだろう。しかし、彼はしぶとくプロ選手として十年以上生き延び、確かに各国で稼いできた。そして貯蓄と資産運用を続け、着実に財産を築き上げた。

「インドでいえば遊佐君がそうだし、タイなら下地君みたいな選手もいますからね。日本以外にもサッカーで稼げる国が沢山あるということですよ」

〈取材・文/タカ大丸〉

【タカ大丸】
 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ほかに韓国ドラマの字幕制作も手掛ける。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’05年9月「オフィス・スカイハイ」を創業。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。その他、C・ロナウドをはじめとする海外有名選手書籍の翻訳を多数手がけ、二冊目の訳書『モウリーニョのリーダー論』(実業之日本社)は三刷を記録。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)は12万部を突破、26刷となる。雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。公式サイト

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