財務省側が森友学園に便宜の揺るぎない証拠。大阪地検特捜部は近畿財務局を強制捜索すべき

財務省側が森友学園に便宜の揺るぎない証拠。大阪地検特捜部は近畿財務局を強制捜索すべき
撮影/菅野完

 前稿(【森友学園】佐川国税庁長官の国会答弁を覆す音声データ完全公開!)では、2016年5月16日に塚本幼稚園内にて行われた、学校法人森友学園の籠池理事長夫妻と財務省近畿財務局との交渉の様子が納められた音声データをほぼそのままの形(幼稚園児の個人名が入る部分だけは修正)で公開した。

 本稿では、予告通り、この音声データの文字起こしを公開するとともに、この交渉の重要性について解説していこう。

⇒【音声データ前編】http://youtu.be/aoRXoDei8To


⇒【音声データ後編】http://youtu.be/tcFBX7KrtyU


※全文書き起こしデータ https://hbol.jp/150098

◆財務省はなぜ無茶な籠池夫妻の要求を突っぱねなかった?

 音声データを一通り聴いて最も印象に残るのは、「籠池夫妻の無茶苦茶さ」であろう。とりわけ、詢子氏の態度は愚かで醜く、かつ乱暴でさえある。近畿財務局からわざわざ塚本幼稚園に出向いてきた池田統括官に対して、「もう帰って!!」と叫び号泣してみせる様は、滑稽といってもいいほどだ。

 詢子氏だけでなく、やおらダイオキシンの存在を持ち出し池田統括官に凄んでみせる泰典氏のやり口も、芝居じみており稚拙だ。音声データを聴いていると「泣き喚いてあの土地の瑕疵をあげつらい、工期の遅れを主張することで損害賠償請求をちらつかせ、なんとかして土地の値段を下げよう」という方針が籠池夫妻の基本戦略であることが理解できよう。

 まずなにより、この籠池夫妻の戦略を理解しておく必要がある。音声データに収録された2016年5月16日の交渉だけでなく、それ以前からも籠池夫妻はこの基本戦略にのっとって、財務省と交渉してきた。そのために、夫妻は、ゴミの存在やダイオキシンの検出などを最大限に利用しつづけてきたのだ。

 こうした籠池夫妻のやり口は、卑怯、卑劣、不誠実と徹底的に非難されるべきだろう。この戦略やロジックを擁護するのはなかなかに厳しい。

 しかし、いかに卑怯なやり口とはいえ、国有地を買う側として、「少しでも安く買おう」とするのは当然の話だ。その交渉の過程でいかに卑怯な手口を使おうともそれは倫理的な問題を含むだけであり、なんら不法性はない。籠池夫妻のやり口が卑怯でありその主張が荒唐無稽であれば、単に財務省が、「そちらとの交渉はこれ以上出来ない」と突っぱねればよい。

 だが、財務省はそうしなかった。

 財務省は、卑怯なやり口で荒唐無稽な要求を繰り出す籠池夫妻を門前払いすることなく、長々と交渉に付き合い、この音声データに収録された交渉のように、わざわざ籠池夫妻が陣取る塚本幼稚園にまで出向いて、丁寧な説明と交渉を重ねている

 しかも、財務省は次々と、籠池夫妻の便宜を図るような発言を繰り出している。

◆財務省側の「便宜を図る」ような発言

 例えば、このやりとりなど、その典型だろう

-----------引用----------------

池田:あの~、この前も理事長もあの~、【売り払い処分】に関してはある程度、酒井さんに、先生にお任せされていますし。

籠池:(小声で)うん、してもらってるなぁ。

池田:まぁ、金額の算出に関しては、国民に対してちゃんとやってくれっていう話で、おっしゃられているので。その、どういうふうなものを引くかとか、あんまりその中身の話しを申し上げても、最後は実際の金額「いくらやねん!」っていう話しだと思うので…。

籠池:そうや!

池田:そこをバシッとこう、ご提示して。僕ら、何を考えるかっていうたらやっぱり、事業のいわゆる資金繰りであるとか、まぁ副園長もおっしゃられていた「授業料ちょっとでも土地が安かったら、え~、やす、やす」

籠池:安うしたの?安うしたのか~(笑)。

池田:「安うしたいねん。」という話しの中で、いわゆる提示させて頂いた土地の取得価格をもって、事業計画、資金収支を計算して頂いて。それが、あの、シミュレーション的に成立するかっていう判断をしてもらうということが大事やな、と思っているんですよね。

籠池:うん。

池田:だから、あの、まずはもう言ったら来月早々には、金額をご提示させて頂くので、それでご判断頂きたい。

-----------引用終わり-------------

 近畿財務局の池田統括官は、明確に、土地価格を財務省側から「バシッとこう、ご提示して」と発言している。しかもその金額にもとづいて、籠池夫妻側が「事業計画、資金収支を計算して頂いて。それが、あの、シミュレーション的に成立するかっていう判断」をしてもらいたいのだという。つまり「土地の値段は財務省側で算出する。そして算出する値段は、今後の小学校経営に合致するような形に落ち着く」と池田統括官は言うのだ。

 もうこの箇所だけでも、この2月以降、財務省の佐川理財局長(当時)が国会で答弁してきた内容と完全に矛盾することが明らかだろう。

 さらに財務省は便宜を図ろうとする。

-----------引用----------------

池田:で、あの、現在、月額の使用料っていうのが227万5千円、月額で頂いております。で、すいません、本当に鑑定士から最終的な鑑定報告をもらってないので、あの~、数字は出来てないんですけれども、ええっと…、延納の手続きをとった時に、何割か、

三好:ん、えーと2割以上。

池田:2割以上。

三好:2割以上を納めて頂いて、後は分割払いという、以前ご説明した方法というのがあの、国有地の分割払いで買うみたいな方法ですね。以前ちょっと、そんな話しもしたことがあったと思うんですけど。最初に2割ぐらいを入れて、あとMAX10年で後の8割を返すみたいな。まぁ、ざっくり大雑把に言うとそんなやり方もあると…。

籠池:うん…。

三好:ええ、ということで。

籠池:10年の~、分割払いをすると。う~ん、分割払いをしたら、それはしかし、そんなことをしたら、

池田:あの、そこは、シュミレーションです。で、それでやった時に、結構、劇的に月額の負担料は安くなる。

三好:ていうか、年間2700万円以上で頂いてて、なおかつ払い続けてもそれを全部を(聴取不能)ですけど、

三好:まぁ返納でやると、トータル的には残り8割を10年で割って返したら、まぁ、その段階でもう全て土地代も全て終わりますから、まぁご負担も減って、今の(聴取不能)は減るとは聞いています。

三好:そこはあの、

籠池:その間はどこの土地なの?

三好:それはあの、担保。銀行と一緒で、抵当権を国の方が付けてという形になって、もう全部、元の方へ全部積み上がります。

籠池:抵当権を付けるか……。

-----------引用終わり-------------

 このように、財務省は自ら森友学園に対して、土地費用の十年分割支払いを提案しているのだ。しかもこの10年分割では、国の抵当権はつくものの完納前に所有権が森友学園に移転するのだという。大阪府の私学設置認可プロセスから、「校舎立地部分の自己所有」を開校の条件として突きつけられていた森友学園とすれば、渡りに船の提案だったろう。

 こうして録音データを詳細に検証していくと、財務省側の方が「なんとかして、瑞穂の国記念小学院を開校させたい」という意図を強くもっていたのではないか?という印象を抱いてしまう。ここまで森友学園に便宜を図ろうとするのは、「佐川理財局長(当時)の国会答弁との矛盾」だけでなく、もはや背任に相当する犯罪行為なのではないか?

 森友事件法律家の立場から追いかける、阪口徳雄弁護士にこの音声データをきいてもらった。

◆弁護士はどう見るか?

 阪口弁護士は、

「池田氏は、『僕はあの~、合致する金額をご提示したいと思ってるだけです。』と明確に述べています。「合致する金額」とは有益費の1億3千万円を上まわる価格と森友学園の出せる金額の1億6千万の間で「双方が合致する金額」するであることが、この録音テープで客観的な証拠として初めて明らかになったわけです。また、このやり取りが5月31日の山本鑑定人の鑑定前に提案していることも重要です。国土交通省の定める積算基準で売却価格を算定していないことつまり『国の為に適正金額を積算していない』ことを裏付ける背任罪の「図利加害目的」があったという重要な間接事実と言えるでしょう」

 とした上で、

「地検特捜部の現状の任意捜査では真実の交渉経過、鑑定のいきさつが明らかにならない。今こそ近畿財務局を強制捜索して、関係証拠を押収、差押すべきです」

 と、言う。

 一方の財務省は、30日開催された民進党のヒアリングで、民進党議員たちからこの音声データを聴かされた上で、理財局の富山一成次長が「録音データの内容と、佐川前理財局長の答弁との齟齬は、確認しないと、組織として決めた」と発言。民進党議員たちからの相次ぐ質問には、「仮定の話ですので、お答え控えたいと思います」、「財務省としてコメントは差し控えさせて頂きたい」と、またしても頑なにコメントを出すことを拒否している。

 しかし如何に財務省がコメントを拒否しようと、この音声データにより、財務省側が森友学園に便宜をはかっていたことが明確になった事実は動かない。阪口弁護士の指摘どおり、ここは、地検特捜部による財務省の徹底的捜査に期待するしかないだろう。

<取材・文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie) 協力/赤澤竜也>

※菅野完氏の連載、「草の根保守の蠢動」が待望の書籍化。連載時原稿に加筆し、『日本会議の研究』として扶桑社新書より発売中。同作が第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれた。また、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中

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