「女の価値はバッグと相関する」発言で炎上の梅木雄平氏と私たちは同じ穴のムジナだ<北条かや>

「女の価値はバッグと相関する」発言で炎上の梅木雄平氏と私たちは同じ穴のムジナだ<北条かや>
女性の価値をカバンで測るとも見られかねない挑発的な発言が炎上。しかし、紐解いてみると……?
       


◆北条かやの「炎上したくないのは、やまやまですが」【その22】

「女性が持つブランドバッグのレベルと、女性のレベルはだいたい相関している」――ツイッター界隈で先日、こんな発言が「炎上」していた。発言の主は、The Startup代表の梅木雄平氏。

 梅木氏は4月7日、自身のツイッターで「ツッコミが入ってしまいそうですが」と前置きし、「女性と女性が持つブランドバッグのレベルは大抵相関している気がします。個人的にはセリーヌ以上を希望」と発言。次のようなブランド階級論を展開した。

ツッコミが入ってしまいそうですが、女性と女性が持つブランドバッグのレベルは大抵相関している気がします。個人的にはセリーヌ以上を希望。

— 梅木雄平 (@umekida) 2018年4月7日 これが「女性の価値を勝手に決めるな」「本当に中身のある人間はブランドなんかに頼らない」等の猛反発を受けているのだ。

 梅木雄平氏は、都心で派手に消費する「港区女子」なるカテゴリを生んだ「東京カレンダー」の元WEBプロデューサーだ。

 女性のファッション事情に詳しいのは間違いない。が、ブランド物にさして関心のない人間からすれば、彼がトップに位置づけたエルメスくらいは分かるが、フェンディとセリーヌのどちらが「上」かなど細かなところは全く理解できない。その温度差と、彼の(アルファツイッタラーにありがちな)決めつけ口調に上から目線が炎上につながったのだろう。

 もちろん彼は、自身のまなざしがマニアックであることも理解しているようで、

「多分、僕のように靴や鞄をがめつく見ている男性ってほとんどいなくて、むしろ女性同士で見られているのだと思います。あの子、30過ぎてまだミュウミュウ使ってるの? 的な目で見られているのですよ。女性同士は残酷な世界ですからね。」

と発言したのだが、これがまた女性を中心に不快感を与えたようだ。

「女同士はネチネチ残酷でいて欲しいという願望の現れでは?」、「好きなバッグを好きなように持てばいいじゃないか」、さらには梅木氏の顔面を侮辱して「こんな顔のやつに言われたくない」など、それを言ったら目くそ鼻くそを笑うになってしまうような悪口の応酬になっている。

 個人的には、「へぇ、25歳を過ぎてミュウミュウは痛々しいのか」「フルラって何万円もするのに、梅木さんからすれば『持っているだけで低レベル』なのか」など微細な発見があって面白かった。しかしもっと重要なのは、我々もまた、梅木氏や、彼のいうカバン格付け女たちと「同じ穴のムジナ」である可能性があるということだ。

◆自分が何者かは、何を買うかで決まる

 思想家のジャン・ボードリヤールが何十年も前から見抜いていたように、モノがあふれる現代社会と、モノがなかったかつての村社会とでは、アイデンティティを手に入れる手段がまるで違う。

 現代社会の我々は、自分が何者であるかを「何を買うか」によって認識せざるをえない。ブランドのわずかな違いに価値を見出してむらがり、人とは少し違う個性を手に入れるために商品を吟味する。

 それは何も高級ブランド品に限った話ではなく、朝食のパンひとつさえ、我々はフジパンの本仕込みにするかパスコの超熟にするか、それともヤマザキのバターロールにするか悩むし、洗濯洗剤はアタックかアリエールか、柔軟剤は使うか、小腹が減ったら吉野家に行くかすき家に行くか、それともセブンイレブンのおにぎりで済ませるか等々、我々は日々無意識のうちに膨大な「違い」を認識し、消費行動へと移している。

 安っぽいミュウミュウではなくセリーヌのバッグを欲する心理と、フジパン本仕込みではなく30円高い山崎ダブルソフトにしようという心理は根底のところで同じだ。消費の積み重ねによって「自分」というものができていくからだ。今や「ブランド物にこだわらない」ことすら、「ブランド物を買わない自分」を手に入れる消費行動に見えてしまう。

 だから梅木雄平氏は消費社会の一側面を示したにすぎないし、反発して「カバンごときでくだらない」とか、「私はこのバッグが好きだ文句言うな」と主張する人たちもまた、消費社会のアイデンティティ獲得ゲームに巻き込まれていることに変わりはない。

 梅木氏に怒るのもいいが、ブランドの違いにマニアックなほどこだわる彼を見てむしろ「我が振り直せ」と自省するくらいでいいのだと思う。ただ、彼だけが今回非難されてしまったのは、「何を言ったかではなく誰が言ったか」で全てを審判するネット社会のルールが、彼には少々不利に働いたからだろう。

<文・北条かや>

【北条かや】石川県出身。同志社大学社会学部卒業、京都大学大学院文学部研究科修士課程修了。自らのキャバクラ勤務経験をもとにした初著書『キャバ嬢の社会学』(星海社新書)で注目される。以後、執筆活動からTOKYO MX『モーニングCROSS』などのメディア出演まで、幅広く活躍。著書は『整形した女は幸せになっているのか』(星海社新書)、『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)、『こじらせ女子の日常』(宝島社)。最新刊は『インターネットで死ぬということ』(イースト・プレス)。
公式ブログは「コスプレで女やってますけど

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