ANTA、PEAK、LI-NING……NBAで地位を築きつつある「中国ブランド」シューズ

ANTA、PEAK、LI-NING……NBAで地位を築きつつある「中国ブランド」シューズ
これが友人がくれたANTAのランニングシューズ。シンプルなデザインとクッション性も良く、メッシュのアッパーで通気性もよいので快適。結構気に入った

「ANTA」「PEAK」「LI-NING」……。

 これらの名前を聞いたことがあるとしたら、NBAファンやバドミントンをやっているか、中国通だろう。

 筆者が「ANTA」のスニーカーを手にしたのは、中国人の友人が「淘宝網で1足1200円だったからお前の分も買っておいた! あげるよ!」と言われてもらったのがきっかけだった。

 最近でこそテクノロジーの進み具合で日本より先にいっている面があるものの、いまだに日本人の中では中国製と言われると、「安かろう悪かろう」「デザインがダサい」というイメージだろう。筆者も、実際の所「半分ネタ」にしようかと考えていた。しかし、届いた靴を見ると、デザインも悪くないし、履き心地もなかなか良い。

 それもそのはず、実はANTAのスニーカーは、いまやNBAマニアの間では結構知られた存在になりつつある。2010年前後から「Baller Shoes DB」によれば、NBAの2018シーズンにおいてシューズブランドのシェアはナイキ(含むジョーダンブランド)が73%と圧倒的なシェアを誇り、次いでアディダス(18%)、急成長してきたアンダーアーマー(4%)の次に、Li-Ning(2%)、Peak(1.2%)さらにANTA(0.5%)と、かつてはリーボックあたりが占めていた位置を完全に中国ブランドが奪っているのだ。

◆急成長を遂げたANTA

 ANTA sports(安踏体育用品有限公司)は、1994年に福建省泉州市の晋江市で創設された。北京オリンピックで飛躍的な成長を果たし、2009年にはあの「FILA」の中国事業を買収している。2017年の同社のファイナンシャルリポートによれば、2007年に4716店に過ぎなかったショップ数が2017年時点で10983店と飛躍的に成長している。


 中国の経済成長に伴い、有名選手へのサポートも活発に行なっていて、ゴールデンステート・ウォリアーズ所属で、史上最高の3Pシューターとも言われるトップ選手であるクレイ・トンプソンだけでなく、NBAからはニューオーリンズ・ペリカンズのレイジョン・ロンドや引退したケビン・ガーネットもサポートしていた。バスケット以外では、ボクシングの史上2人目の6階級制覇王者であり現在は政治家であるフィリピンの英雄、マニー・パッキャオまでサポートしている。

 Bloombergによれば、時価総額1198億7500万HKD(約1兆7000億円)となっている。

◆世界初の3Dプリンター製バッシュを出したPEAK
 Peak Sport Products(匹克體育用品有限公司)は1989年に創設された企業で、海外市場調査の専門会社「Frost & Sullivan」の2008年時点の調査では、スポーツシューズブランドの中で中国ブランドとしてはもっとも高い認知度だったという結果がある。

 やはりPEAKもNBA選手へのサポートは活発に行なっている。サンアントニオ・スパーズのトニー・パーカーやシャーロット・ホーネッツ所属で強靭な肉体でリバウンドを取りまくるドワイト・ハワードなどをPEAKチームに擁している。2017年8月には、世界初の3Dプリンター製バスケットボールシューズを発表している。

 この発表リリースで、ドワイト・ハワード選手は「この1足のシューズは明らかに従来のものより高い性能を持っている。3Dプリンター製のソールと側面のわく革がより快適な履き心地を可能にしていると感じた。おそらく将来のいつか、皆さんは私がNBAの試合で、PEAK 社のR&D(研究開発)に基づきデザインした3Dプリンター製のバスケットシューズをはいているのを見ることになろう」と語っている。

◆ロス五輪金メダリストが創業したLI-NING

「LI-NING」(李寧有限公司)の名前は、体操競技に詳しい人ならばピンと来るのではないだろうか。その創業者は、ロサンゼルスオリンピック体操金メダリストの李寧(リーニン)選手その人である。中国国内ではANTAやPEAK以上の知名度を誇り、ResearchInChinaによる2016年時点の調査では、中国国内シェアではナイキ、アディダス、ANTAに続く第4位、SNS「微博」のフォロワー数ではナイキ、アディダスに続く第3位となっている。

 アメリカ進出も上記2社よりも早く、2010年の段階で中国スポーツ用品メーカーとして初めて米国小売市場に進出し、オレゴン州に小売店舗を開設している。NBAでのシェアも前述したように中国ブランドとしてはアンダーアーマーに次ぐ2%ともっとも多い。

 日本ではバドミントン用品としては知名度が高いが、世界的なマーケットで同社が力を入れているのはやはりバスケット。2004年アテネ五輪男子金メダルのアルゼンチン代表チーム、2006年男子世界選手権優勝のスペイン代表チームとユニフォーム提供の契約を結ぶなど、グローバルに売り込んでいる。

 当然NBAプレイヤーのシグネチャモデルも出しており、現在マイアミ・ヒートに所属するベテラン選手、ドウェイン・ウェイドがリーニンのサポートを受けている。

◆日本のNBAファンの間でも密かに浸透中

 さすがにここまでNBAの有名選手が履いてくるとなると、「人が履いてないものを履いてみたい」と思うNBAファンやバスケットボール好きが買ってみたいと思うのも無理はない。ANTAのマークがスウォッシュに似てる(そんなに似てないと思うが)、という程度ならさておき、かなりデザイン似ちゃってるんじゃないの? と物議を醸すものは時々出てくるようだが、ファッション目的でなく、実際に使用するバスケットボール愛好者たちの間では、なかなか高く評価されている。ANTAのクレイ・トンプソンモデルKT3のamazon.comにおけるレビューは、9件ではあるが平均4.8とこちらもなかなかの高スコアだ。

 筆者自身、ANTAと同時にXTEP(特步国际控股有限公司)のスニーカーも前述した友人からプレゼントされたわけだが、どちらも履き心地はかなりいい(※ちなみに、XTEPは2010年に英国プレミアリーグのバーミンガムシティと約700万ポンド相当の5年間のキットスポンサー契約を結んだが、その後、供給の問題やXtepによるクラブの知的財産の無許可使用に関する紛争の後、2012年6月に廃止されている)し、デザインも決して悪くない。

 もちろん、バスケットボール以外のスニーカーも合わせれば、まだ日本勢はアシックスが大いに健闘しており、ナイキ・アディダス・プーマ・リーボック・アンダーアーマーの次くらいには付ける実力はある。しかし、ことNBAで言えば、確実に中国勢が存在感を示しているのだ。

 単に「マネーパワーなだけ」と決めつけていると、スポーツシューズ市場でも確実に認知度を上げていくのは間違いないだろう。
<取材・文/HBO取材班>

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