財務省の公開文書には最も重要な部分が欠けている。これで幕引きを図らせてはいけない

財務省の公開文書には最も重要な部分が欠けている。これで幕引きを図らせてはいけない
写真/時事通信社


◆安倍晋三よ、これで幕引きを図れると思うなよ

 朝日新聞が、森友事件の第一報を報じたのは、昨年2月9日のことだった。

 あれからもう1年4か月もの時が流れたということになる。

 この間、さまざまなことがあった。いや、森友事件に関して言えば「ありすぎた」と言ったほうが適切かもしれない。不明朗な土地取引のスキーム、籠池夫妻の特異なキャラ、森友学園の経営する幼稚園で行われていた奇矯な教育内容、安倍昭恵の下劣ともいえる卑しさ、安倍晋三の愚かな周章狼狽ぶり、そして、今年に入ってからは、我が国の統治機構の根幹を揺るがす公文書改竄事件までが明るみに出た。ここまで驚天動地の出来事が明るみに出れば、一体何が問題なのか、わかりづらくなるのも当然だろう。もっといえばこれだけの出来事が起これば世間が森友事件に食傷気味になるのも自然の成り行きともいえるだろう。

 こうした自然の趨勢を見越してか、安倍政権はいま、森友事件の幕引きを図ろうと躍起になっている。しかもその作戦は「このタイミングで大量に文書を公開すれば、誰も追いつけず、誰も真剣に読まず、かえって事実を覆い隠せるだろう」という姑息な意図に基づいたものだ。

 過日、財務省が公開した「調査報告書」は、その好事例の一つだ。この報告書を虚心坦懐に読めば、「私や私の妻や事務所が関与していたら総理も議員も辞める」というあの不用意極まりない安倍総理の答弁が、公文書改竄の契機だったことが誰にでも理解できる(報告書P15)。なにせ当の自民党が設置した公文書改竄問題調査プロジェクトチームの座長を務める柴山明彦副幹事長が「国会における安倍晋三首相の答弁が少なくともきっかけになったことは紛れもない事実だろう」と一度は言明したほどだ。にもかかわらず、政府はいつものように「その指摘は当たらない」と、のらりくらりと逃げるばかり。これなど「どうせ世間はあの報告書をちゃんと読まない」と、たかをくくっているからに他ならない。

 財務省はこの報告書と同時に、森友学園側との交渉記録も公開した。しかし、今回公開された交渉記録からは、籠池泰典氏が昨年の証人喚問で「神風が吹いた」と表現した、安倍昭恵と籠池夫妻のスリーショット写真を財務省に提示した日の交渉記録と、前出の総理答弁直後の交渉記録だけがなぜか欠落している。

 これも「これだけ大量に出せば、だれもこれ以上追及しないだろう」という思惑なのだろう。

 だが、もうその作戦は通用しない。国会の情勢がどうなろうとも、森友事件は国政の根幹を揺るがす事件に発展したのだ。こんな姑息な手段で、我々の追及から逃げられると思っているなら、安倍晋三よ、お前の読みは、極めて甘い。

【菅野完】
1974年、奈良県生まれ。サラリーマンのかたわら、執筆活動を開始。2015年に退職し、「ハーバービジネスオンライン」にて日本会議の淵源を探る「草の根保守の蠢動」を連載。同連載をまとめた『日本会議の研究』(扶桑社新書)が第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞を受賞。最近、どこよりも早く森友問題の情報を提供するメルマガが話題(https://sugano.shop/

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