オウム教祖らの死刑執行では、「すべて終わった」ことにはできない

オウム教祖らの死刑執行では、「すべて終わった」ことにはできない
オウム後継団体の報告保有資産(公安調査庁調べ)

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◆オウム教祖らの死刑執行で社会不安は収束したのか

 7月6日、元オウム真理教教祖・麻原彰晃ほか教団幹部計7人の死刑が執行された。続く26日、残り6人の死刑も執行され’88年から’95年にかけて同教団が引き起こした事件は実に30年の時を経て清算されたこととなる。

 しかし一方で、’00年に設立された「アレフ」含む後継団体の信者数は全盛期の1万1400人(国内)から約10分の1に減ったものの、今だ新規加入者や麻原に帰依する者も少なくない。また、約38億円にも上る事件被害者への賠償が滞りながらも、教団の保有資産は「ひかりの輪」、「山田らの集団」ら他の後継団体と合わせてなぜか年々、億単位で増加している。

 宗教問題に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏は、そうした点を差し引いても、事件の総括がなされたとは言えないと話す。

「一連の事件は裁判記録などで既に全容が明らかになっているにもかかわらず、政府の陰謀であるとか、事件の真相が不明のままだといった論調を支持する動きがあります。こうした“歴史修正”の流れを阻止することが課題です」

 一般的には白眼視されるような存在に対し、理解者を気取るサブカル的な動きはいつの世もある。’90年代、麻原も各種メディアで宗教人として持て囃されていた。

 坂本弁護士が教団批判をした番組映像も、放送元のTBSがオウムの抗議を受けてお蔵入りにしている。その9日後、坂本氏はオウムに殺害された。

「今、一部親族や元信者が文化人のように祭り上げられているのも、かつてを彷彿とさせます。彼らの個人史への興味と、起きた事実は区別しなければなりません」

 こうした流れがすぐさま、オウム復活に繫がるとは言えないが、後継団体の内部状況次第では風向きが変わる可能性も否めない。

「後継団体と無関係だと主張している親族について、少なくとも平成25年まで、アレフの運営にいわばロイヤルファミリーのように関与していた形跡が裁判で明らかにされています。オウムの元広報で『ひかりの輪』の上祐史浩代表がそうであるように、メディア露出で獲得した知名度や“人気”が、組織基盤づくりに作用すると危惧する公安関係者もいるようです」

◆“内なるオウム”は誰にでも存在する。防ぐ手立ては?

 オウムを増長させた責任の一端が社会にもあったことは前出のとおりだ。だがオウムが異質であるあまり、反面教師として内面化するのが困難であったことは、現状が物語っていると藤倉氏は話す。

「今、オウムに似た構図が見られるのが政治運動でしょう。極右ヘイトスピーチ集団や『反安倍』の一部が過激化しているのを見ているとそう思います」

 そして日本脱カルト協会も主張するように、オウムの宗教的、カルト的構造については未解明な部分が多い。麻原の高弟全員の死刑執行がなされれば、それを紐解くための史料は失われることになる。その場合、“次なるオウム”の誕生はどう警戒されるべきなのか。

「集団化の過程で独善性を強めていくのは人間の本性的側面でもあるからこそ、歴史に学ぶ以外にない。地下鉄サリン事件の直前、ある有識者がオウム本拠地に招待され、ハリボテの神像を前にして雑誌で教団を擁護して見せたことがあります。その裏にサリン精製施設があるとも知らず。オウムを理解するのは難しくても、疑惑のある団体をうかつに擁護する危険性は比較的わかりやすい教訓です」

【藤倉善郎氏】
「やや日刊カルト新聞」を創刊。新興宗教や自己啓発セミナーなどのカルトを精力的に取材する。著書に「『カルト宗教』取材したらこうだった」(宝島社)

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